横審“同情勧告”次も途中休場でも稀勢の里の進退問わず 復帰まで“無期限”休場OK
日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は29日、東京・両国国技館で定例会合を開き、左大胸筋を痛めて初場所を途中休場し、5場所連続休場となった横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=に対し、次の出場場所で再び途中休場を繰り返しても進退を問わない考えで一致した。委員から同情の声が相次ぎ、復帰は故障の回復まで“無期限”とする大甘の見解も示された。
稀勢の里は24日に都内の部屋で稽古を再開しており、「次は覚悟を決めて、と思っている」と次の出場場所で進退をかける意向だ。本人の覚悟とは裏腹にまるで“辞めてもらっては困る”との声が横審では相次いだ。
岡本昭委員(岡安証券最高顧問)は「進退まで(話は)いっていない。同情の方が多い。せっかく日本人(横綱)が出てきたんだから」と切に心配した。
横綱の5場所連続休場は02年九州~03年秋場所まで6場所連続休場した武蔵丸以来。それでも北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は、進退問題に関し大甘の見解を示した。
「本人がやれるんだという判断を持てた時に出てきて頑張ってほしい。稀勢の里という非常にファンが期待している力士。何とか克服してこの困難を乗り切ってほしい。そういう意見が横審の全員」
横審は休場の多さなど理由に「注意、激励、引退勧告」を出す。次の出場場所で途中休場を繰り返した場合、「横審としてもどう判断するか考えなきゃいかん」と決議は取る意向。ただ「引退勧告」の考えはなく、進退問題はその次の場所まで“延命”となる見通しだ。
左上腕部、左足首、腰部など相次ぐ故障に次の春場所どころか、完全回復まで復帰は猶予。「これからの成り行きを見て判断」と貴乃花に並ぶ7場所連続休場すら容認姿勢だ。
初場所は横綱として65年ぶりに5日目までに4敗。87年ぶりに2場所連続の3日連続金星配給。歴史的不名誉にまみれた稀勢の里は、横審の「同情」をバネに奮起するしかない。