「スポーツクライミング・ボルダリング・ジャパンカップ」（４日、駒沢屋内球技場）

　日本一を決めるジャパンカップの決勝が行われ、女子は野口啓代（あきよ、２８）＝茨城県連盟＝が２年ぶりに制し、男女通じた通算最多優勝記録を「１１」に更新した。男子は藤井快（こころ、２５）＝東京都連盟＝が３連覇を達成した。

　２年ぶりのＶ奪回で、野口が女王のプライドを取り戻した。「日本のクライミング界のレベルがすごく上がっていて、年々優勝する機会も少なくなり、何度かやめようと思った。周りのサポートで優勝できて感謝しています」。勝てない重圧からようやく解放され、目にうれし涙を浮かべながら喜んだ。

　昨年はシーズン初戦の今大会でつまずいた。１４歳年下の伊藤ふたばに逆転で最年少優勝をさらわれ、その後のＷ杯でも負け続き。「現役も長いし、去年１度も優勝できなかったこともあり、ちょっと諦めたくなる瞬間が多かった」と苦しかった胸の内を明かした。それでも競技を続けられたのは、追加種目に決まった東京五輪で金メダルを取る夢を断ち難かったから。「東京五輪を想像して自分はすごく出たい気持ちが強いと分かった」と踏みとどまることができた。

　今年は２年に１度の世界選手権が９月にインスブルック（オーストリア）で開催される。五輪前哨戦に位置付けられる大事な大会だ。「世界選手権でベストのパフォーマンスを出したい」。再び日本一の称号を取り戻した今、狙うは初の世界一しかない。