鬼の貴乃花親方「この辺で」わずか2分半で強制終了 貴ノ岩公の場で初会見も…

 元横綱日馬富士に暴行を受けて頭部を負傷し、2場所連続全休の西十両12枚目貴ノ岩(28)=貴乃花=が1日、京都府宇治市の宿舎で朝稽古を行った後、取材に応じた。昨年11月に事件発覚後、公の場で語るのは初めてだったが、師匠の貴乃花親方(45)=元横綱=が鬼の形相で質問を強制終了。春場所出場も明言することはなく、ピリピリムードを漂わせた。

 師弟が並んだ再出発の表明に笑みは全くなかった。リハビリ状況に関する質問が貴ノ岩に続けられると、徐々に貴乃花親方の表情が険しくなっていった。

 そして「横綱に被害を受けた頭部の…」との言葉にひょう変。怒りをにじませた鬼の形相で「その話、ちょっとごめんなさい。申し訳ない。この辺で」とまな弟子をかばい、手を出して質疑を打ち切った。

 貴乃花部屋の稽古は早く、午前5時には始まる。強風が吹き荒れ、冷え込む宇治市の部屋には早朝からテレビカメラ6台、約70人の報道陣が大挙した。

 報道対応を告知していながらわずか2分半の質疑。「横綱」、「頭部」のフレーズが出ただけで“強制終了”は、師弟の中で事件がいまだ深く影を落としていることの証(あかし)だ。

 先月26日から同所で本格的な稽古を再開させた。親方は「元気に稽古しています」と話し、日に日に状態は上がっている。この日は弟弟子の幕内貴景勝のぶつかり稽古に初めて胸を出し、当たりを確認。四股、すり足、テッポウなど基礎運動で入念に強化した。

 貴ノ岩は「少しずつ体を自分で動かしている。まだまだしっくり来ていない。まだ相撲を取っていない。もう少し時間がかかる」と慎重な口ぶり。春場所へ向け「一生懸命やることだけ」と、出場を明言しなかった。

 被害者側でありながら、貴乃花親方は協会への報告怠りなど責任を問われ、理事を解任された。貴ノ岩自身、日馬富士を引退に追い込んだとし、母国モンゴルでは非難を受ける。3場所ぶりに本場所に復帰すれば、事件の酒席に同席していた横綱白鵬、鶴竜と対面する。精神的にストレスがかかるが、出なければ来場所は幕下に落ちる。

 貴乃花親方は午後に貴ノ岩らと宇治市役所を表敬訪問した際、「(初日の)3日前に私が判断する。そこで出せないと思ったら、出させない」と8日に出場可否を決めると明かした。事件から4カ月。着実に前進しているが、醸し出すピリピリムードは変わらない。本番まであと10日。異様な注目の中、判断が迫られる。

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