成田緑夢 文句なしの金!ベストタイム2度更新 競技中も続けた「挑戦」

 「平昌パラリンピック・スノーボード男子バンクドスラローム下肢障害」(16日、チョンソンアルペンセンター)

 今大会から新たに独立した競技として加わったスノーボードの男子バンクドスラローム下肢障害で16日、成田緑夢(ぐりむ、24)=近畿医療専門学校=が優勝し、この種目の初代王者に輝いた。自身初の金メダルで、スノーボードクロスの「銅」に続き、2度目の表彰台に立った。今大会の日本選手団のメダルは8個となり、金はアルペンスキー女子大回転座位の村岡桃佳(21)=早稲田大=に続く2個目。4大会連続で複数の金を獲得した。

 進化の歩みを止めない新鋭が16日、一気に頂点まで駆け上がった。圧巻の滑りで金メダルを手にした成田は「最高の気分」。家族が見守った客席に手を振る顔は、誇らしげだった。

 3回滑ってベストタイムで競う種目。本格的に競技を始めて2シーズン目の成田は今大会の目標に「挑戦」を掲げ、競技中にも少しずつ変化を加えた。滑る度に記録を伸ばし、3回目の48秒68は1回目を1秒49も更新。2位に0秒52差をつける快勝だった。

 2013年4月、トランポリンの練習中の事故で左膝下がまひする障害を負ってからは、挑戦の連続だ。それまで鍛え上げた体は別の人のもののように変わった。足首が動かず、意識と逆方向に進んでしまい「竹馬に乗っている気分」と落ち込んだときもあった。

 まひした部位を動かすのは不可能。「前の記憶のまま動くと、完全に欠落している部分がある」。まずは受け入れることから始めた。新たな体の使い方を追求し、動く部位を最大限生かそうと発想転換。フォームの手の位置をセンチ単位で変えたり、力の入らない左足は固定力の高いブーツを履いたりと試行錯誤を重ね、持ち前の高い身体能力を徐々に発揮できるようになった。

 「挑戦した末の失敗ならば、後悔はない」。前向きに自らの可能性を模索し続ける姿勢で、最高の結果ももぎ取った。「最終目標は夢や感動、希望、勇気を与えられるすてきなアスリート」。常々公言する理想像を完璧に体現してみせ、文句なしの形で初のパラリンピックを締めくくった。

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