「平昌パラリンピック・アルペンスキー女子回転」（１８日、旌善アルペンセンター）

　手にしたメダルは金１、銀２、銅２。アルペンスキー女子回転で座位の村岡桃佳（２１）＝早稲田大＝が２位となり、出場した全５種目で表彰台に上った。１大会で５個のメダル獲得は冬季の日本選手最多。開会式に続いて閉会式でも旗手の重責を担った。桃の花の季節に、２度目のパラリンピックで「桃佳」が大輪の花を咲かせた。

　１回目で２位につけた村岡は２回目、中盤でスキーを横に滑らせ、転倒した。それでも「転んだままでは終われない」と諦めない。すぐさま起き上がると、無心で滑り切った。意地でつかんだ銀メダル。全５種目で表彰台を引き寄せ「正直に言うと、きょうの朝まで取れるとは思っていなかった」と安ど感をにじませた。

　滑降で銀メダルを獲得した競技初日、村岡は力を込めていた。「私に始まり、私に終わる大会」。転んだ時に頭に浮かんだのもこの言葉だった。日本アルペンチームのトリとしてぶざまな姿では終われない。得意ではない最終日の回転でもきっちり責任を果たした。

　今大会のアルペン女子座位の５種目で表彰台に上がったのは７人。このうち全種目でメダルを獲得できたのは村岡ただ一人と、安定感が際立った。前回ソチ大会５冠で「女王様」と目標にしてきたアナ・シャフェルフーバー（ドイツ）とも滑りで互角に渡り合った。世界の強豪の仲間入りを果たし「成長を見せられた大会」とうなずいた。

　最高成績が５位だったソチ大会から４年。２度目の大舞台はこれ以上ない結果で幕を閉じた。それでも２１歳のヒロインは「金メダルはゴールに近いものだと思っていたが、今は通過点と思っている」ときっぱり。「私の滑りで誰かの糧になれるようなスキーヤーになりたい」－。さらなる高みを見据え、疾走を続ける。