貴ノ岩の弟弟子・貴公俊が暴力 取り組み敗れ支度部屋で殴る蹴る…付け人が流血

 「大相撲春場所・8日目」(17日、エディオンアリーナ大阪)

 角界にまた暴力事件が勃発した。大相撲春場所8日目の18日、貴乃花部屋の新十両貴公俊(たかよしとし、20)が取組後の支度部屋で付け人に殴る蹴るの暴行を加え、流血する傷を負わせた。元横綱日馬富士の傷害事件の被害者である貴ノ岩が所属する貴乃花部屋の力士が、今度は加害者に。角界に根深くまん延する暴力がまた浮き彫りとなった。峰崎部屋でも兄弟子から暴行を加えられた力士が引退したことが協会から発表されるなど、不祥事の連鎖は止まらない。

 暴力被害を受け、どこよりも暴力を憎むはずの貴乃花部屋の力士が愚行だ。今場所、新十両に昇進した20歳の貴公俊が付け人を何度も殴打し流血させた。

 現時点で協会が把握している事実関係によれば、貴公俊はこの日の取組前、土俵下へと入場する時間が遅れたため、境川審判部長代理(元小結両国)から注意を受けた。付け人の連絡ミスだったもようで、これに激高し、暴行したと思われる。

 取組も負け5敗目(3勝)。目撃者によれば東の支度部屋に戻るやいなや、壁に押しつけて数発殴り、蹴りも数発加えたという。

 取組後、事態を知った危機管理部長の鏡山親方(元関脇多賀竜)が加害者、被害者をともに呼び聴取。その報告を受けた春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)は「2、3発殴った。そこは確実」と双方ともに認めたことを明らかにした。

 昨年10月に元日馬富士に暴行を受け、貴ノ岩が頭部を負傷。師匠の貴乃花親方(元横綱)が暴力行為を糾弾。事実の解明を求め協会側と対立してきた。この事件から角界は新たな暴行、立行司のセクハラ、大砂嵐の無免許事故などが発覚した。

 貴乃花親方は今場所前、内閣府に元日馬富士の事件に関し協会の対応を問題視して告発状を提出した。暴力根絶の先頭に立つ同部屋で指導する弟子が今度は加害者となった。角界の暴力の闇は深い。

 協会側は事実を早急に調査したいが、貴乃花親方に当初は電話がつながらず、折り返しを待って今回の件を伝えたという。後手後手の対応は、協会の組織統治として大いに問題。春日野部長は「話す機会を設けて」と19日にも師匠、当事者らを聴取し協会で対処を協議する意向を示した。今度は暴行事件を起こした弟子の監督責任を問われ、貴乃花親方が協会側と対峙(じ)する。

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