貴乃花親方「一兵卒として出直す」“全面戦争”4カ月半…弟子の暴行問題で陥落
大相撲の貴乃花親方(45)=元横綱=が23日、元横綱日馬富士による弟子の十両貴ノ岩への傷害事件を巡り日本相撲協会の対応を問題視し内閣府に提出していた告発状を取り下げる意向を示した。この日は28日の臨時年寄総会への参加を錦戸会長(元関脇水戸泉)から正式に要望され受諾。無断でテレビ出演、今場所初日から無断欠勤など不信感を持つ親方衆に事情を説明することも確約した。角界を揺るがし続けた“貴の乱”は全面降伏で終戦した。
抵抗の最後の砦(とりで)でもあった協会の告発状もついに取り下げる。貴乃花親方は京都府宇治市の部屋で朝稽古後、「ゼロに戻してスタートするようなふうに弁護士と協議していきたい」と決断を語った。
正午前、会場入りした際も再び告発状に関し「取り下げるという言葉を使うかは分からないけど、すべてをゼロにします。一兵卒として出直して精進します。私の意思です」とキッパリ。内閣府の調査はもう必要ないか?と問われると「私の意思はすべてをゼロにします」と繰り返した。
昨年11月、弟子の十両貴ノ岩が元日馬富士に暴行され負傷した事件が発覚。それ以降、協会の聴取に反発し、理事解任も不当と主張。今場所初日からは無断欠勤を続けた。
4カ月半に及んだ“全面戦争”が一転、無条件降伏。その要因は、今場所8日目に弟子の十両貴公俊(たかよしとし)が付け人の序二段貴西龍を暴行した問題が大きかった。
貴乃花親方は「弟子のことで多大なご迷惑をかけた。師匠として不徳の致すところ」と陳謝。29日の理事会で協議される貴公俊の処分について「師匠である私に責任がある。貴公俊はまだ20歳なので、ぜひとも寛大な処置をお願いしたい」と八角理事長(元横綱北勝海)に頭を下げ、その旨を申し入れる考えを明かした。
無断のテレビ出演、協会の見解との食い違い、無断欠勤問題など、不信感を持つ親方衆にも誠心誠意、説明する。28日の年寄会が理事らも出席する臨時年寄総会へ格上げ。その場への出席を求め、この日錦戸親方(元関脇水戸泉)から要望書を手渡された。「これまでのお話を全部聞かせて下さい」と言われ、「はい」と快諾した。
貴乃花一門の阿武松親方(元関脇益荒雄)は「静観して見守る」とし積極的な援護姿勢を見せなかった。孤立し、まさに四面楚歌(そか)。つるし上げとなる“法廷”がみそぎの場だ。
「(協会の)皆さんと協力し、私は一兵卒としてやっていくということ」。相撲人生最大の失意と屈辱にまみれ、平成の大横綱が陥落した。