樋口新葉、SP8位からの涙の逆転「銀」 平昌五輪代表落選から成長

 「フィギュアスケート・世界選手権」(23日、ミラノ)

 女子はショートプログラム(SP)8位の樋口新葉(17)=東京・日本橋女学館高=がフリー145・01点、合計210・90点で銀メダルを獲得した。宮原知子(19)=関大=は合計210・08点で銅メダル。日本女子のダブル表彰台は安藤美姫が優勝、浅田真央が2位だった2007年以来11年ぶり。日本女子は日本開催となる来年の出場枠を3に増やした。平昌五輪銅メダルのケイトリン・オズモンド(カナダ)が合計223・23点で初優勝。同金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)は5位だった。

 演技後に号泣して、得点を見てまた大粒の涙を流した。ほぼ完璧な演技を披露した樋口のフリーの得点は、自己ベストに0・29点差に迫る145・01点。SPの上位陣が沈んだこともあり、大逆転で銀メダルを手にした。

 「絶対にできる」と言い聞かせてリンクに立つと、昨年末の全日本選手権とは構成が違う冒頭の3回転サルコーを決めて波に乗った。映画「007 スカイフォール」の曲に乗ったダイナミックな滑りで観客も魅了。すべての演目をほぼミスなく滑りきると、両拳を突き上げ、顔をくしゃくしゃにして「やったー」と叫んだ。

 「シーズンで一番良かった。今季の分はすべて出し切れた」

 挫折を乗り越えた。昨年12月にGPファイナルに初出場し、優位に立ちながら全日本選手権4位で代表落ち。その後は右足首を痛めたこともあって2週間完全休養した。多感な高校2年生は「気持ちの切り替えが大変だった」と言う。平昌五輪も見る気になれず、そこで選んだのは同じ時期に開かれたオランダでの国際大会への出場。心も衣装も一新して再スタートを切った。

 「今思えばそれ(代表落ち)があったからやり切れたかなと思う」と話し、21歳で迎える北京五輪に向けては「4年間で倍伸ばせるというか、まだ伸びしろがある。4回転も挑戦したいけど、まずはトリプルアクセル」。この日が61歳の誕生日だった岡島功治コーチに最高のプレゼントをした17歳の挑戦は、まだまだ終わらない。

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