パワハラ認定受け栄強化本部長辞任 福田会長「伊調選手、関係コーチに深くお詫び」

 日本レスリング協会は6日、都内で緊急理事会を開催し、レスリング女子で五輪4連覇を達成した伊調馨(33)=ALSOK=が同協会の栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメント(パワハラ)を受けたという告発状が内閣府に提出された問題で、調査を委託していた第三者委員会から4点のパラハラ行為が認定された報告書を承認。福田富昭会長(76)ら幹部が謝罪した。同日付で栄強化本部長から辞表が提出され、理事会はこれを受理した。同副本部長だった西口茂樹氏が、本部長に昇格する。

 五輪4連覇の国民栄誉賞アスリートと、強化のトップによる前代未聞の騒動は、協会側の“降伏”でようやく収束へ向かい始めた。パワハラ行為が認定され、会見した福田会長は「伊調選手、関係コーチにこの場を借りて、深くおわび申し上げます」と、他の幹部とともに頭を下げ謝罪。また栄強化本部長からは谷岡副会長を通じ辞表が提出され、受理された。栄氏は「自分の不徳の致すところ」と話しているという。

 一方、伊調は所属を通じ「最終的には内閣府の調査を待ちたい」としつつも、「レスリング協会がアスリートファーストの確立に尽力されることを信じ、私も協力してまいります。応援してくださっている皆さまには感謝申し上げます」と前向きな言葉をつづった。

 第三者委員会により認定されたパワハラは、栄氏による伊調への罵倒や、2010年の不透明な選考など4点。一方で告発状に記載されていた男子合宿や、警視庁の練習場への出入り禁止、練習場所確保の妨害などは認定されなかった。

 ただ、協会側は問題が報道された直後に、一度はパワハラなどを全面否定する声明を発表しており、福田会長は「パッと(報道を)読んで言ってしまった。申し訳なかった」と平謝り。「栄監督にはパワーはない。なぜパワハラなのか」としていた谷岡副会長も、福田会長によると「『しっかり対処していく』と」と受け止めていたという。

 今回の調査報告はパワハラ行為のみ。告発状に記載されている不適切な強化費への調査、また内閣府の独自調査の結果を待って、協会側は幹部や栄氏へのさらなる処分を検討するとしている。

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