阿部詩、天敵・角田に涙の敗戦 17歳ホープ初の世界切符ゴロンと逃す

 「柔道・全日本選抜体重別選手権」(8日、福岡国際センター)

 世界選手権(9月、バクー)代表最終選考会を兼ねて行われ、激戦区の女子52キロ級で、17歳のホープ・阿部詩(兵庫・夙川学院高)は、準決勝で世界選手権銀メダルの角田夏実(25)=了徳寺学園職=に一本負けした。角田は、決勝で世界女王の志々目愛(24)=了徳寺学園職=にも勝利して初優勝。男子100キロ超級は、92年バルセロナ五輪95キロ超級銀メダリストの小川直也氏(50)を父に持つ小川雄勢(21)=明大=が初制覇した。

 これも真の女王になるための試練だ。人生を左右する大一番に敗れた阿部は「まだ(結果を)受け止められない」と涙を浮かべた。激戦区で、今回優勝すれば初の世界切符。重圧で17歳の足はすくんだ。

 どんどん前に出て投げを放つスタイルが信条だが、慎重になった。「頭の中では攻めようと思ったが、なかなか体が動かなくて…」。3分過ぎ、一瞬の隙を突かれたともえ投げで宙を舞った。畳についた瞬間には関節技で腕も決められており、完敗だった。

 世界女王の志々目にも投げ勝っている天才少女だが、関節技の名手である角田は天敵だった。16年講道館杯、グランドスラム(GS)東京でいずれも腕ひしぎ十字固めで2連敗。一年間、寝技を強化して臨んだが、苦手意識を払しょくできなかった。

 国際大会で活躍しても、ライバルに徹底マークされる国内で勝つ方が難しい。「初めて(代表が懸かる)プレッシャーを感じて、今までにない緊張があった」。試合のことを考えると動悸(どうき)が高まり、夜も寝付けなかった。

 しかし、男子66キロ級世界王者の兄・一二三(日体大)も高校時代に通ってきた道。「みんな、ここを乗り越えている。重圧に負けない強さをしっかりつけたい」と自身を鼓舞した。

 日本女子の増地監督が「国際大会の結果は重視する」と話しているだけに、GS東京、パリで優勝している阿部が第2代表として選ばれる可能性は残る。敗戦のショックの中で「もし選ばれるチャンスがあれば、必ず世界一を取りたい」と声を絞り出した。

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