野中生萌 抜群の安定感で2季ぶりの優勝「集中して登ることができた」
「スポーツクライミング・W杯」(14日、マイリンゲン)
ボルダリング第1戦の準決勝と決勝が行われ、女子は野中生萌(20)=TEAM au=が2季ぶり3度目のW杯優勝を果たした。野口啓代(28)=同=が3位。男子は16年世界選手権を制した楢崎智亜(21)=同=が2位に入り、高田知尭(鳥取県協会)は5位。イエルネイ・クルーデル(スロベニア)が優勝した。ボルダリングは複数の課題に臨み、完登した数を競う。2020年東京五輪は登る速さを競うスピードと、登った高さを競うリードを合わせた3種目の複合で争われる。
パワー、柔軟性、バランス感覚。総合力を試す異なるタイプの課題を、野中は迷いなく冷静に登り切った。完登率が高かった決勝で、勝敗を分けたのはミスの少なさだ。例年より始動を早めて臨んだシーズンのW杯開幕戦。「確実にいけば登れると分かっていた。集中して登ることができた」と自信にあふれていた。
3課題目までただ一人失敗なく完登すると、最後の課題は初の落下が出ても動揺せずに2度目でクリアした。2016年8月のミュンヘン大会を最後に遠ざかっていたW杯優勝。ボルダリング日本一を決めるジャパンカップでは昨年、当時14歳の伊藤ふたばが史上最年少優勝を飾り、今年は第一人者の野口が女王の座を奪還した。20歳のクライマーには「私も負けてられない」と期するものがあった。
出身地の東京で2年後に開かれる夢舞台の五輪は、リードとスピードを含む複合で争われる。「3種目にチャレンジする」と位置づける今季、まずは最も得意なボルダリングで足場を固める。