プロ転向表明の川内優輝「現状打破に矛盾。自分は『現状維持』だった」【一問一答1】
世界最古のマラソンと呼ばれるボストンマラソンで日本人31年ぶりとなる優勝を飾った“最強市民ランナー”川内優輝(31)=埼玉県庁=が19日、成田空港に凱旋帰国し、来年4月でのプロランナー転向を表明した。
川内との一問一答は次の通り。【その1】
-ボストンの賞金1600万円の使い道は?
「来年の4月から公務員を辞めて、プロランナーに転向しようと思っていますので、そちらの方の資金にしようと思います」
-プロランナーに?
「そうですね。今年で(勤務先の高校が)創立100周年の記念行事があるので、そちらをしっかり終えて、引き継ぎをしっかりして、来年から世界の舞台で戦いたいと思います」
-決断に至った経緯は?
「昨年のロンドン世界陸上で、自分として公務員と両立しながら、やれるところはすべてやったつもりだったが、あと一歩で入賞に届かなかった(9位)。今の環境を変えなければ、自己ベストも5年間更新していませんし…。もしかしたら覚えている方もいるかもしれませんが、『3年間結果が出なかったら、環境を変えないといけない』と昔から言っていた。ずるずると5年間やってしまった。ちょうど100周年というやらなければいけない仕事が終わる、また自分が公務員としてやりたかったさいたま国際マラソンの実現もできた。そうした意味で自分が何をやりたいかを考えた時に、マラソンで世界と戦いたいというのがあった」
-家族にはなんと。
「そもそも、もう弟(鮮輝)がプロランナーでして、それがうらやましい部分があった。自己ベストも大幅に更新していますし。自分は5年も更新してない。実家で暮らしていると、自分が仕事に行かなければいけない時間に治療に行っていたり、またより多くの練習をやっていたり。合宿を組んだり。そういう姿を見ていて、自分はこのままでいいのかと。弟の存在は大きかった」
-世界で勝つための決断?
「パリマラソンや、ロッテルダムは入学式や卒業式と重なって、出場できていなかった。そういうのを取っ払って。おそらく私がトップランナーとして世界を回れるのは、10年もない。もう5年もないかもしれない。死ぬ時に、“あの時、プロになっておけばよかった”と後悔するのは嫌だった。あといつもサインで『現状打破』って添えるんですけど、書きながら自己矛盾を感じていて、自分が一番『現状維持』じゃないかと。ただ、ずっと公務員でやって、現状維持で。それでいいんだろうかと。人には現状打破と言いながら、自分は現状維持、現状維持で何も挑戦してないじゃないかと。それが5年間ベストを更新できていない一番の要因ではないかと思っていた」