川内が電撃表明!プロ転向へ!世界と勝負するため現状維持捨てる
“最強市民ランナー”が男の決断!世界最古のマラソン大会である第122回ボストン・マラソンで日本人31年ぶりとなる優勝を飾った公務員ランナーの川内優輝(31)=埼玉県庁=が19日、成田空港に凱旋帰国し、電撃的に来年4月でのプロランナー転向を表明した。今年度をもって埼玉県職員を退職する。5年間、自己ベスト(2時間8分14秒)を更新できておらず、さらに世界と勝負していくための選択。20年東京五輪挑戦の可能性も否定しなかった。
どこまでも川内らしい、電撃的で無鉄砲な表明だった。ボストン・マラソンの優勝賞金15万ドル(約1605万円)の使い道を問われ、「来年の4月から公務員を辞めて、プロランナーに転向しようと思っている。その資金にできれば。この賞金で3、4年は活動できる」と唐突にプロ転向を表明した。職場にも正式には伝えておらず「呼び出されると思う」と苦笑いしつつ、「しょうがない。いずれは通らないといけない道なので」。その表情には覚悟が宿っていた。
11年東京マラソンで日本人トップの3位となり、世界選手権代表切符を獲得し、一躍脚光を浴びた。定時制高校で事務を務め、フルタイムで働きながら、レースでは魂の走りで世界と戦う姿が人々の心を打ち続けてきた。
この度、公務員という“安定”を捨てる決断に至ったのは、タイムの伸び悩みだった。「自己ベストを5年間更新していない。今の環境を変えなければ」と説明した。
2月の東京マラソンで設楽悠太(ホンダ)が2時間6分11秒で16年ぶりに日本記録を更新。大雨、寒波、強風の悪条件で世界最高峰のボストン・マラソンを制した川内だが「設楽くんや井上(大仁)くんには力で劣る。世界で戦うスピードを付けるために環境を変えないといけない」と、冷静に自分の立ち位置を分析する。そんな中で自身の座右の銘と、現状とのジレンマを感じていたという。
「いつもサインで『現状打破』って添えるけど、書きながら自己矛盾を感じていた。自分が一番『現状維持』じゃないかと。人には現状打破と言いながら、自分は公務員で何も挑戦してない。自分がトップランナーでいられるのはあと5年もないかもしれない。死ぬ時に後悔するのは嫌だった」と決断の理由を語った。
20年東京五輪は、苦手の暑さを理由に否定的。それでも「ただ」と付け加えて、言った。「プロになって、本気でマラソンに人生を捧げた時に、できると確信が持てれば、その時は自信を持って挑戦したい」。言葉も行動も走りも、すべてが先の読めない“川内劇場”。人々を魅了する1人の男の人生に、大きな転機が訪れた。