羽生結弦【一問一答2】さすがの心遣い「SEIMEI」決めポーズは遠くの人のため
平昌五輪で66年ぶりの連覇を達成したフィギュアスケート男子の羽生結弦(23)=ANA=が22日、故郷仙台市での凱旋(がいせん)パレードに出席した。途中、フリーの演技「SEIMEI」に登場する決めポーズも披露したが、近くで見られない人に対して「そういう人にも届けばいいな」という思いからアクションしたと語った。以下、一問一答の要旨【その2】。
-金メダルの重みを感じたということだが、連覇した後に感じたものとの違いは。
羽生「(平昌五輪で)メダルセレモニーが終わって首にかけていただいて、その時も金メダルの重みをすごく感じましたけど、それは自分がやりきった、自分の夢をかなえきった気持ちだった。今回は皆さんの期待を受け止め切れたのかなという瞬間でした。ソチ五輪の時って、もっと未来に目が向いていて、この金メダルからまた次の金メダルへ走っていく気持ちでいたんですけど、今回はどちらかというと、取りたかったものが取れた気持ちでいるので、皆さんの応援をちゃんと受け止め切れて、皆さんの想いがつまった金メダルをかけているんだなという実感があります」
-「SEIMEI」の決めポーズも披露した。どんな思いからか。
羽生「うちわとかで決めポーズしてと書かれているものがあって、何したらいいんだろうと。一番やった時に見てほしいなと思ったのは、近くの方にはありがとうという声は届くかなと思ったし、自分の目線とかも届くかなと思ったんですけど、遠くで見ている方も、交差点とかで本当に奧の奧の方まで声援を送ってくれていました。そういう人まで届けばいいなと思ってやらせてもらいました」
-今日の仙台市内では多くのボランティアや、売店のスタッフまで結弦くんの日だと話していた。
羽生「それぞれの店舗でポスターを掲げてくださったり、プリントして、弾幕といったらいいのかな、いろんな言葉を書いてくださったり、自分に見えるように飾ってくださったりすることがすごく多いなと思いました。(中略)商業の方も在庫を増やしたり、仕入れる量を増やしたりとか、そういうことでちょっとでも仙台や県内の企業さんにもお金がまわり、それが復興の一助になればなと思っています」
-4年後への新たな思いがあれば。
羽生「僕は、ソチ五輪の2年前まで仙台でスケートを続けることができたんですけど、世界のトップを目指すことに関しては仙台だけではなく、東北全体的に、世界のトップを狙える設備はそろってないなと思っています。だからこそ、カナダに拠点を移して、金メダルをかけて戻ってくることができたと思うんですけど、僕が…何て言うんだろう、僕が仙台でスケートを続けられるようになったのは、荒川(静香)さんがトリノ五輪で優勝して、アイスリンクへの補助金をしてくださったから、僕は仙台でスケートを続けることができ、最終的にカナダに行く事ができ、パレードを開いていただけるようになりました」
(続けて)「僕がそういう存在になれたらいいなと思いますし、仙台の子供達、東北の子供たちも含めて、スケート以外でもスポーツの面で、施設面で苦しんでいらっしゃる方がいると思います。ちょっとした笑顔になったりとか、支援をしてくださっている企業の方も含めて、ちょっとでもスポーツが発展するきっかけになったらと思います」
-海外からのファンもいる。地元で見てほしい所は。
羽生「(中略)東北全体に関して仙台もそうなんですけど、まだまだ復興が足止め状態になっているところもあるんですけど、そういったところにも足を運んでほしいと言ってくださっている方もいらっしゃいますし、もちろん古い建物とか、津波で流されてしまったものとかたくさんあるかもしれないですけど、新しくなった駅とか、立ち上がっているところ、もちろん作り続けているところも見てほしいんですけど、新しくなった街もあるので、こんなきれいになったんだなというのを見てもらいたいと思います」
-(高校生記者から)夢を実現させるためにはどうしたらよいか。
羽生「僕の中で夢っていうのはすべてかなうものと思っていなくて…。かなえるためにはいろんなものを犠牲にしたり、自分がしたいことだったり、自分がしたいことをできなかったり、したくないことをやらなきゃいけなかったり。そういった時間があると思います。それをやり続けているからこそ、夢がかなった時に味わえる達成感はきっとものすごいと思う」
(続けて)「小さい夢を一つ一つ積み上げていって、その達成感が原動力になればいいなと思いますし、人生をかけて、学校生活をかけて掲げている大きな目標に関してはそれだけに集中することでかなった時の喜びは大きなものになるので、何も恐れずに(夢に)かけることをしてほしいなと思っています。頑張ってください」