朝比奈沙羅、17歳素根に連敗「自分に負けた」有効取り消しで心に隙
「柔道・全日本女子選手権」(22日、横浜文化体育館)
女子78キロ超級の世界選手権(9月、バクー)代表最終選考会を兼ねて体重無差別で行われ、前回覇者の朝比奈沙羅(21)=パーク24=は、準決勝で17歳の素根輝(福岡・南筑高)に7分5秒反則負けを喫した。
互いに指導2-2となった3分過ぎ。朝比奈の払い巻き込みで、審判は「有効」(現在IJFルールでは廃止されている)と判定したが、素根がほぼ腹ばいになっていたため、直後に取り消された。この時の心理について朝比奈は「正直ポイントはないと思ったが、取り消されてショックだった。気の緩みがあったと思う」と自身に甘さがあったことを明かした。
ゴールデンスコア方式の延長戦に入ってからは、前回敗れた時と同様に相手の左釣り手に苦戦。自身が攻めあぐねる中、スタミナに分がある17歳に攻め抜かれ、投げられはしなかったものの、3つ目の指導を食らった。7日の全日本選抜体重別選手権で素根に初黒星を喫してからは、組み手の強化を徹底してきたが、同じような負け方に「勝負に負けたというより自分に負けた」と目を赤くした。
昨年のこの大会で初優勝し、山部佳苗(ミキハウス)、田知本愛(ALSOK)ら“16年リオ五輪世代”からの「世代交代」を有言実行して見せた。昨夏の世界選手権では銀メダルを獲得。以降も国際大会で3連勝するなどエースとしてけん引していた自負があっただけに、前日会見では4歳下のホープに対して「出た芽は摘んでいく。この大会は初出場で簡単に勝てると思われたくない」と強気な発言を並べて自身を鼓舞した。しかし、連敗したことで、名実共に“朝比奈VS素根”時代の到来は告げられた。
自身は大学4年でありながら、4月から実業団のパーク24と異例の契約。五輪後の医学部進学に向けた勉強と練習の両立のために効率化を図っていたが、毎日5時間以上練習を積んでいる素根の成長を肌で感じ、「練習量とのバランスも考え直さないといけない」と危機感を口にした。
今回2連覇は逃したものの、国際大会での実績を評価されて世界代表には選ばれた。「出るからには、確実に世界で金メダルを取れる選手だと思われるようになりたい」。失意の中で、夏に向けての闘志をかき立てた。