井上康生監督「近年まれに見る面白さだった」 好勝負連発の全日本選手権
「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)
体重無差別で行われ、リオデジャネイロ五輪男子100キロ超級銀メダリストの原沢久喜(25)=日本中央競馬会=が3年ぶり2度目の優勝を果たした。若手からベテランまで、また軽量級や中量級選手も熱戦を繰り広げた大会に、01~03年に3連覇した経験もある日本男子の井上康生監督(39)は「近年まれにみる面白さだった」と評した。
決勝は原沢と2連覇中の王子谷剛志(旭化成)のライバル対決となり、お互いがっぷり四つ手組み合って、延長に入ってからも互いに大技を掛け合った。最終的に技によるポイントは入らなかったものの、試合時間9分を越える重量級ならではの力勝負に会場のボルテージは最高潮に達し、幕を閉じた。
それ以外でも、小川雄勢(明大)と王子谷の準決勝や、19歳の飯田健太郎(国士舘大)のスケールの大きい攻める柔道、90キロ級で元全日本王者の32歳・加藤博剛(千葉県警)の奮闘など、多くの熱戦が武道館を沸かせた。
井上監督は「今回は決まり技が多く、重量級が争った中で見応えがあった」と大会を総評し、「昨年苦しんでいた原沢が5試合のうち4試合がゴールデンスコア(延長戦)で最後キツかったと思うが、非常に苦しい戦いを見事に勝ち切った。一皮むけた彼を見ることができた」と復活した王者を絶賛した。
また、今回は60キロ級世界王者の高藤直寿(パーク24)、73キロ世界王者の橋本壮市(パーク24)の2人も初挑戦し、いずれも初戦敗退となったが、一歩も引かない戦いで会場を沸かせた。「高藤にしても橋本にしても、端から見るとケンカに挑むようなところがあったかもしれない。それほど全日本の戦いは、五輪や世界選手権とは違うものがあると示してくれた。負けるケンカの中でも全力で戦う姿は、私自身エネルギーをもらった」と独自の見解を示しながらたたえた。