日本相撲協会は３０日、夏場所（５月１３日初日、両国国技館）の新番付を発表した。

　先場所、東前頭筆頭の地位で９勝を挙げた遠藤（２７）＝追手風＝が新三役となる西小結に昇進。埼玉県草加市の部屋で会見した。

　追手風部屋では０６年秋場所の黒海以来。石川県からは９７年九州場所の出島、栃乃洋以来、戦後５人目。日大からは１４年秋場所の常幸龍以来１７人目。

　「あんまりいつもの番付発表と変わらない。こういうこと（会見）をしているけど気持ちは変わらない」。ようやくたどり着いた晴れの舞台にも感慨はなく、故障との戦いの日々を振り返り続けた。

　「これからという時にケガをしてその繰り返し。少しずつ（ケガとの）付き合い方が見えてきた。今よりもっといい付き合い方があると思う。そういうのを目指したい」。

　１３年春場所で幕下付け出しデビュー。イケメンな上にスピード出世で相撲人気回復の立役者。大関候補のホープにとって、三役はいつしか近くて遠い地位だった。

　１５年春場所では５日目の松鳳山（二所ノ関）との一番に突き落としで勝利した際、左膝半月板損傷・前十字靱帯損傷の重傷を負い休場。昨年７月には右足首に初めての手術を施した。

　「膝のケガが言われているけど、新入幕の時に足首もケガ。タイミングが悪い。良いときもあれば悪いときもあると思ってやってきた」と語った。

　会見に同席した師匠の追手風親方（元幕内大翔山）は「ケガ、ケガ、ケガ、ケガ。やっとという思い。腐らずコツコツと治療してトレーニングして３年間やった」とねぎらった。しこ名は三役でも「遠藤」のまま。「今から変えるのは難しい」と明言した。

　昇進にも笑みはなく、その理由は「隙を見せないように」とあえて自身を律した。三役として上位戦はこれまで以上に注目されるが、遠藤にとっては自分との戦い。「まだお先真っ暗。今と向き合って、つらい時はしのんで、必死にもがいてやるしかない」と、悲壮感を漂わせた。