ダニエル太郎「信じられない」 粘りのテニスでツアー初優勝 日本男子4人目の快挙
「男子テニス・イスタンブール・オープン」(6日、イスタンブール)
シングルス決勝でダニエル太郎(25)=エイブル=がマレク・ジャジリ(チュニジア)を7-6、6-4で破り、ツアー大会初優勝を飾った。現行のツアー制覇は日本男子で松岡修造、錦織圭(日清食品)杉田祐一(三菱電機)に続く史上4人目の快挙。ダニエルは優勝賞金7万6020ユーロ(約988万円)を手にし、7日付世界ランキングで114位から自己最高82位に上昇した。
2時間20分を超えた熱戦の直後に行われた表彰式。「チャンピオン」と紹介されたダニエルは来賓の列の前を通り過ぎてしまい、慌てて戻って握手を交わした。新王者らしい初々しい一こまだった。「1回戦の勝利後にいい予感はしたが、大会を通じてとは思わなかった。信じられない1週間になった」。少し照れくさそうに優勝杯を掲げ、祝福の拍手を浴びた。
粘りのテニスで頂点に駆け上がった。準々決勝、準決勝はフルセットの勝利。決勝は相手のセットポイントの窮地をしのいだ第1セットをタイブレークの末に奪い、第2セットも34歳のベテランが放つスライスショットを根気強く返球した。
3月には元世界ランキング1位のジョコビッチ(セルビア)を倒して世界を驚かせた25歳。躍進の背景には、ある決断があった。昨秋に世界ランク100位前後を行き来する停滞感を打破すべく、14歳からスペインに置いた練習拠点を日本に戻した。「新しいことに取り組まないと」。ストロークが大半だった練習でサーブやボレーも改善し、プレーの幅を広げた。
本来はエストリル・オープンに予選から出場予定だったが、今大会の本戦出場が決まり、ポルトガルからトルコに急きょ移動して臨んだ舞台だった。ツアー初制覇で世界ランクは2年ぶりに自己最高を更新して82位まで上昇。「2年後には20位とかに入れたらいい。また別のタイトルを取りたい」。得意のクレーコートでつかんだ栄冠と自信は、さらなる成長への出発点になる。