稀勢の里、夏場所出場可否を保留 再度病院で検査 11日朝までに最終結論
「大相撲夏場所」(13日初日、両国国技館)
左大胸筋負傷などで6場所連続休場から再起を期す横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が10日、夏場所の出場可否を保留した。この日は朝稽古に姿を見せず、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が対応。「今、病院に行って検査をしている。今日の夜、また話して決めようと思う。次の日の様子もあり、今日になるか明日になるか。まあ話して」と、この日夜に師弟で話し合い、11日の朝までに最終的な結論を出す考えを示した。
初日から休場する力士は取組編成会議を行う11日午前までに届け出る必要がある。前日までに審判部に届け出るのが通常で、稀勢の里も故障後、これまで6場所の出場可否は同会議の前日、木曜日までに判断してきた。
親方も9日の稽古後、10日に出場可否を示すことを明かしていたが先延ばし。「今回は本人が『もう1回、病院に行かせて欲しい。考えさせてくれ』ということなので。これだけ周りから言われているし、本人もいろんな思いがあると思う」とギリギリまで可能性を模索することになった。
「今まで悪かったところも他のところも見てもらって。場所に出るなら万全の方がいい。場所前の稽古も厳しいところがあった。出るからには結果を出さないと。体が動かないわけじゃない。相撲を取らないと。取ってみないと分からない部分がある」と弟子の出場への意欲を代弁した。
師匠としては弟子の決断を尊重する。「迷っているようなら場所は出られない。出ないつもりで稽古はやっていない。本場所に向け必死に調整した。本人の考えもある。ちゃんと話をしてみないと」と出場の可能性を否定しなかった。
稀勢の里は先場所を全休。春巡業に途中合流し、順調な回復をアピールしていた。しかし3日の横綱審議委員会で3勝5敗と精彩を欠くと、4日、春日野部屋の出稽古で関脇栃ノ心に2勝8敗と大敗。周囲から休場を勧める声が高まった。
6日は風邪で稽古を休養するなど体調面にも不安。8日は二所ノ関一門の連合稽古で平幕琴奨菊(佐渡ケ嶽)に圧力負けし6勝10敗と惨敗した。一門の親方衆から「自分を見つめ直さないといけない」など、ダメ出しを連発された。
9日、部屋で稽古の後は言葉少な。稽古後、ここまでの仕上がりに関し「どうだろう。まだ分からない」と言葉を濁した。
次の出場場所では進退をかける決意を示しており、万全でないまま出場を決めれば玉砕覚悟。休場となれば年6場所制となった1958年以降の横綱では貴乃花に並ぶ最多タイの7場所連続休場となる。