最年少全日本王者19歳谷川翔、悪夢の鉄棒落下で世界切符スルリ

 「体操・NHK杯」(20日、東京体育館)

 4月の全日本選手権の得点との合計点で争われ、内村航平(29)=リンガーハット=は合計258・629点で3位から逆転し、前人未到の大会10連覇を達成。9年半ぶりにケガ以外で敗れた全日本から3週間で、見事に復権を果たした。2位の白井健三(21)=日体大=は、0・734点差の2位。上位2人が世界選手権(10月開幕・ドーハ)の代表に決定した。全日本覇者の谷川翔(19)=順大=は鉄棒での落下が響き、4位。世界選手権代表の残り3枠は6月の全日本種目別(高崎)で決定する。

 史上最年少で全日本王者となった19歳谷川に、最後の最後に厳しい現実が待ち受けていた。全日本からの勢いそのままに大きなミスなく、安定感のある演技を並べ、5種目目を終えた段階でトップだった。しかし、最終演技者となった鉄棒でまさかの落下。動揺からか、その後の演技にもミスが出て、一気に4位に沈んだ。世界切符に手の届く位置にいただけに「緊張はあった。(落下は)なんでか分からない。代表に入りたかった」と、唇を噛んだ。

 重圧の懸かる鉄棒の最終演技者。これまで内村が背負い続けてきた計り知れないプレッシャーを経験した。直前に内村、白井が完ぺきな演技を見せつけられ「内村選手、白井選手とは経験値が違うなと思った。レベルの違いを見せつけられた。あの場面で決められるようにならないと」。ただ、まだ種目別での代表入りの可能性はある。水鳥強化本部長も「あそこまで首位でいけた。内村、白井に次ぐ存在が出てきたのは収穫」と認める新鋭は、6月の全日本種目別に向けて「すごくいい経験ができた。チャンスはある」と、前を向いた。

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