栗城史多氏が死亡 9本の指失い、カラスに食料食べられ…でもエベレスト諦めず
登山家の栗城史多さんが21日、エベレスト下山中に死亡した。35歳。低体温状態で発見されたと栗城さんの公式フェイスブックで発表された。栗城さんは09年に初めてのエベレストに挑戦するも、ことごとくその壁に跳ね返され、今回が8度目の挑戦だった。
公式FBによると、「このようなお知らせになり大変申し訳ございませんが、エベレストで下山途中の栗城が遺体となり発見されました」と死亡したと報告。下山途中に無線連絡に反応がなくなり、キャンプ2近くの撮影隊が捜索、「先ほど、低体温で息絶えた栗城を発見いたしました」と亡くなった状況を説明した。
栗城さんにとってエベレストは特別な山だった。大学山岳部で登山を開始し、09年に初めてエベレストに挑戦。特に気象条件の厳しい秋の登山にこだわりを持っていた。栗城さんはHPで秋のエベレスト挑戦について「困難な中に生きる力がある。山が与えてくれた最大の学びかもしれません」と魅力をつづっている。
09年は北側から、10年は南側から挑戦も失敗。11年は7800メートル地点で、カラスに食料を食い荒らされ、テント用ポールも無くしたことから登頂を断念した。
そして12年、ヒマラヤのジェット気流の強風に悩まされ断念。下山途中に両手、両脚、鼻に重度の凍傷を負い、両手の指9本を失った。
それでも栗城さんの山への情熱は変わらず、14年にブロードピークに無酸素・単独登頂し、復活を果たした。
その後もエベレスト挑戦を続け、15年は強風と深い雪に阻まれ、8150メートル地点で下山。16年にも腰まである雪の前にやむなく下山となった。17年も挑戦したが断念し、今回が8度目の挑戦だった。大けがに見舞われても何度も頂上にアタックし続けた栗城さんの夢が果たされることはなくなってしまった。