日大当該選手陳述書【3】「真実を明らかにすることが償いの第一歩と決意した」

 大学アメリカンフットボールで、関学大との定期戦で悪質な反則タックルを仕掛けた日大の当該選手・宮川泰介(20)が22日、都内の日本記者クラブで会見を開き、事実関係をつづった陳述書を約15分にわたって読み上げ、内田正人前監督やコーチ陣との生々しいやり取りを詳細に明かした。【その3】

 5月8日、コーチから午後5時ごろにグラウンドに呼び出されました。私はグラウンドのクラブハウスで待っていると、先輩が私の様子を心配してくれました。先輩にもうアメフトはできないと伝えると、先輩もそうだよなと応じてくれました。

 その後、学生のスタッフから監督が待っているコーチ部屋にいくように言われました。コーチ部屋には監督1人でした。監督が話し始めると遅れて、井上コーチと鈴木コーチが来て、私が監督に対して「もうフットボールはできない」と伝えると、監督は「お前の罰はあの時、退場になって、お前の処罰は終わっているんだからいい。世間は監督をたたきたいだけでお前じゃない。気にするな」と言われました。

 その後、監督は練習に出ていき、井上コーチと鈴木コーチの3人で話しました。当然、2人のコーチから事実関係の確認はなく、「お前が辞める必要はないだろう」「向こうとの試合がなくなろうと別にいいだろう」というような話をして、退部を申し入れた私を引き留めようとしてきました。しかし、私としてはあんなプレーをしてアメフトを続けることはとても考えられませんでした。

 5月9日、森ヘッドコーチから三軒茶屋のキャンパスに呼び出されて、「辞めるべきじゃない」「フットボールでかえしていくしかない」「監督が厳しく言ったことをそのままお前に伝えたコーチに責任がある」と言われました。

 5月11日、前日の謝罪文公表を受けて、こちらから井上コーチに連絡して、本部にある部屋で監督と井上コーチ、私と両親で面会しました。父から個人的にでも相手選手と家族に謝りに行きたいと申し入れたところ、監督からは「今はやめてほしい」と言われました。父から「監督、コーチから選手に対して対戦校のQBにケガを負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけ」である旨の公表を求め、そのメモを先方に渡しましたが、公表できないと断られました。

 面会の後、井上コーチから父に連絡があり、理由の説明もなく、関学アメフト部の監督に謝りに行くと言われました。父がアポイントを取ってほしいという旨を求め、アポイントを取ろうとしたようですが、先方から断られたと連絡がありました。しかし、夜中に井上コーチから父に連絡があり、「謝りに行く。息子さんは行かせて下さい」と言われて関西学院大学に行くことになりました。

 5月12日、謝罪のために私と井上コーチで関西学院大学を訪れましたが、再度先方から面会を断られたため、関学アメフト部の監督にお会いすることはできませんでした。

 5月14日、井上コーチから父に連絡があり、三軒茶屋のキャンパスに来てほしいと呼び出され、父と2人で訪問しました。その日はその後、私と父が関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会で聞き取り調査を受けました。

 5月16日、私は日本大学本部の体育局にチームの幹部とともに呼ばれましたが、先方がどう出て来るか分からない不安が強く、体調も良くなかったため、私は行きませんでした。

 5月18日に私と父で関学アメフト部QBの選手及びご両親を訪問し、直接謝罪の意を伝えました。最後に本件は例え、監督やコーチに指示されたとしても、私自身がやらないという判断ができずに指示に従ってしまって反則行為に及んでしまったことが原因であり、その結果、相手選手に卑劣な行為でケガを負わせてしまったことについて、退場になった後から思い悩み反省してきました。そして真実を明らかにすることが償いの第一歩と決意してこの陳述書を書きました。相手選手、そのご家族、関西学院大学アメリカンフットボール部はもちろん、私の行為によって大きなご迷惑をおかけしてしまった関係者のみなさまに改めて深く深くおわび申し上げます。(起立して)本当に申し訳ございませんでした。

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