金星連発の張本智和に倉嶋監督「過去数十年いない」

 「卓球・荻村杯ジャパン・オープン」(9日、北九州市立総合体育館)

 男子シングルス準々決勝で、世界ランク10位の張本智和(14)=エリートアカデミー=は、リオデジャネイロ五輪金メダルの馬龍(29)=中国=に4-2で勝利し、ベスト4入りした。

 今年4月には現世界ランク1位で中国次期エース候補のファン・ジェンドン、5月にはロンドン五輪王者の張継科を撃破するなど、中国トップ選手をも飲み込み始めている。

 男子日本代表の倉嶋洋介監督は「やりましたね」とニヤリ。「張本にとって、ものすごく大きな自信につながったと思う。この1年で中国トップ選手に4人勝っている。過去数十年の日本選手にはいない戦績。東京五輪に向けて金メダルを目指せる選手に少しずつなってきた」と目を細めた。

 絶対王者攻略の糸口は、トスを高く上げる「投げ上げサーブ」でタイミングをずらしミスを誘うことにあった。倉嶋監督は「あれだけレシーブ巧者の馬龍にミスさせた。普通のサーブを出すとものすごく切れるツッツキ(台上で下回転をかける技術)を打たれて(張本)智和のパワーじゃまだ持ち上がらないが、それを打たせないように投げ上げサーブでタイミングをずらし、YGサーブ(通常とは逆回転のフォアサーブ)でツッツキを防いで、ブロックに対してアタックしていった」と当初からの狙いが奏功したことを明かした。

 張本によれば、投げ上げサーブを始めたのは以前のカタール・オープンでカルデラノ(ブラジル)が使用していたのがきっかけで、「自分もあれをやりたいと倉嶋監督に相談しながら始めた」という。以前、YGサーブを直伝したこともある倉嶋監督は「サーブの種類が多いのも張本の良さ」と飲み込みの早さに舌を巻いた。

 もちろん、卓球王国がこのままでは終わらないことも織り込み済みだ。倉嶋監督は「馬龍とも(実質)初めて戦ったので(勝てた)。トップ選手はみんな1回やって、さらにこれから研究もされるし、もう一度上回らないといけない」と、東京五輪まで一筋縄ではいかないことを強調した。

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