日大“報復”の一例、世田谷から山形へ「配置換え」 組合が主張、日大は否定
アメフット部による悪質タックル問題に揺れる日大の教職員組合が11日、都内で会見を開いた。田中英寿理事長の辞任などを求めた「要求書」を5月31日に提出したことを受けて、今回は、その要求書に賛同する署名を集めたことを報告。教員のOBを含め合計752人分が集まったと明かしたが、一方で、報復を恐れて署名できないとする人がいることも明かした。なお、日大は報復の存在を否定している。
教職員組合側が明かした教職員らの声、意見の中には「名前を非公開にしても、署名をすれば、本部のことだから署名の洗い出しもするのではないかと思い、怖くて怖くて、とても署名することはできません」とする非組合員の女性教員のものがあった。「報復が恐ろしいけど、当該学生がこの何倍もの恐怖を感じていたと思うと、教員が名前を出さないわけにはいかないと考えました」とする非組合員の男性教員の声も紹介された。
ここで言われる報復の一例には「高校教員の配置換え」があるという。日大には公式ウェブサイト上で紹介されているだけでも20校を超える付属高校がある。会見に出席した日大教職員組合執行委員会の後藤範章委員は「それらの中で、数日後に転勤命令がくだるということが実際に起こっています。東京の世田谷区の付属高校で教鞭を執っていた方が山形県の付属高校に行くように、ということがある」と明かした。
当然、表向きにな理由は違うものが示されるというが、「今回のような署名に署名するということが分かった場合には飛ばされてしまう、というケースが実際にあった、ということです」と主張した。また、大学の教授のような専任教員の場合は比較的地位は守られているが、職員、非常勤講師、助手・助教といった任期制の教員は、こうした人事の問題は大きいとした。
なお、12日に日本大学はデイリースポーツの問い合わせに企画広報部が回答した。組合側が主張する報復人事について「そのような事実はありません。常に人事は公平を期しております。何を根拠に主張しているのか、わかりません」と否定した。