日大、理事長辞任の賛成署名は全体の2割 報復懸念や人手不足で未実施学部も 組合発表
日大のアメリカンフットボール部による悪質なタックル問題で、日大教職員組合が11日、都内で会見を開いた。田中英寿理事長の辞任などを求めていた要求書に賛同する署名が合計752人(5月31日から6月8日に実施)に達したと発表したが、実はこの数字の裏には様々な意味が含まれている。
署名活動を行えたた学部・系列高校に限ると対象者は1685人。賛同する署名をした人のうち専任教員は約650人(組合発表の人数)で、約38・5%となる。
さらに、署名活動が行えていない学部や系列高校もある。同組合が発表した内訳によると、学部では危機管理学部、スポーツ科学部など10学部。日大高校、日大桜ヶ丘高校など7系列高校で、賛同署名集めを行えなかったとしている。同組合が引用した日大の「2016年度事業報告書」に基づいたデータでは、日大の専任教員数は2741人、日大付属高校の専任教員数は553人で、合計3294人とされている(2016年5月1日時点)。
これらの数字に基づけば、賛同署名をした人は全専任教員数の19・7%にとどまる。
だが、この「署名活動を行えていない学部と高校」の存在こそが争点の根にもつながっている。同組合は「校舎建て替えとか、どうしても本部に逆らえないような状況」や、「そういうことをすると学部が報復される」という理由で学部単位での署名活動ができなかったケースがあったと説明した。
また、「組合員が250人ぐらいしかいません」という理由で、「マンパワーの問題が非常に大きい。組合員がいない学部では実際に動く人がいないという現実的な問題がありますので、どうしても短期間、9日間(署名を行った期間)では広げることができなかった」と振り返る会見出席者もいた。個人単位でも「本部のことだから署名の洗い出しもするのではないかと思い、怖くて怖くて、とても署名することはできません」という声があったことも紹介された。
同組合は6月27日までに、活動を行えた学部・高校の専任教員数の半数以上の賛同署名を集めることを目標としている。また、それとは別に「一般市民の方々からも賛成したい、ぜひ署名したいという声を私たちは多く受けておりますので」とし、日大の卒業生や保護者、一般市民からの賛同も得られるように活動を広げていくとした。