歯科医目指す異色ハードラーが日本記録 「まだ受け入れられない」
「陸上・日本選手権」(24日、維新みらいふスタジアム)
最終日に2種目の日本記録が更新された。男子110メートル障害決勝で、金井大旺=福井県スポーツ協会=が13秒36(追い風0・7メートル)の日本新記録で優勝。2004年アテネ五輪で谷川聡が記録した13秒39を更新し、アジア大会代表に内定した。
22歳の異色ハードラーが自己ベストを0・16秒も更新し、日本新で初優勝。「まさかこんな記録が出るとは想定していなかったので驚いています。まだ受け入れられない…」と報道陣を笑わせた。「ゴールしてあれ?と思った。(13秒)4台が目標で、日本記録を超えるとは思っていなかった」と自身の予想を超える快挙だった。
北海道・函館市出身。歯科医の父の後を継ぐため、函館ラ・サール高を卒業時に陸上はやめるつもりだった。しかし「インターハイで完敗して悔いが残った。大学で頑張ろうと」と、法大で元400メートル障害日本記録保持者の苅部俊二監督に師事。昨年の日本学生対校選手権で優勝するなど台頭した。
ゴールは決めている。「別の道も目標がある。その道は譲れないので区切りをつけたい。東京五輪で結果を残すのが目標です」。その後は歯科大に入り直して、父と同じ歯科医を目指すという。
現在も指導を続ける苅部監督は、今冬に力を入れたウエートトレーニングで「スプリント力がつき、体も大きくなった」と飛躍の要因を分析した。まだ成長過程の新鋭が、2つの夢を目指して2020年まで突っ走る。