「大相撲名古屋場所」（７月８日初日、ドルフィンズアリーナ）

　左大胸筋の負傷などで７場所連続休場中の横綱稀勢の里（３１）＝田子ノ浦＝が２９日、名古屋市緑区の鳴戸部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、幕内竜電（高田川）と三番稽古で５勝４敗と苦戦した。

　左差しを封じられ、差されると頭を付けられ体を起こされた。寄り切られると何度も「あー」と声を挙げた。

　押し込まれて左で突き離し、すくい投げで勝つ相撲もあったが、形は良くない。最後はもろ差しを許して棒立ち。寄り切られると、稽古を自ら打ち切った。三番稽古を横綱が負けて終わるのは、珍しい。名古屋入り後、連日、弟弟子の大関高安と稽古し、順調な調整に見えたが一転。やはり状態が上がっていないことを露呈した。

　「まあ、まあ…。いやまあしっかり」と稽古後は言葉少な。師匠の田子ノ浦親方（元幕内隆の鶴）は「いっぱい課題がある。全体的に。（相撲勘は）休場したのもあるけど色んな力士とやっていかないと。（左が使えないことに）相手も考えてきている」と、本調子にはほど遠い様子。

　出場の判断に関しては「まだ少しある。とりあえず稽古をやらせて、これくらいじゃ分からない。きょうの内容では判断できない」と先延ばしにした。

　出場なら進退のかかる名古屋場所。見守った一門の尾車親方（元大関琴風）は「もっと左を使えればと思ったけど。高安とばかりやっているから別の力士とやると狂っちゃうんだろうな。何とか１週間、いいところに持っていってほしい」と、心配そうに話した。

　鳴戸親方（元大関琴欧洲）は「何がやりたいのか分からない。砂が（体に）付いていない。横綱だからとかじゃなく初心に戻ってやらないと。私はそうしてきた。横綱だからこそ初心で見直すべき」と苦言を呈していた。