稀勢の里 8場所連続休場が濃厚に 舞の海氏「名古屋に出る稽古ではない」
「大相撲名古屋場所」(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)
左大胸筋の負傷などで7場所連続休場中の横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が30日、名古屋場所の休場が濃厚となった。名古屋市の二所ノ関部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古で三番稽古相手に指名したのが新入幕の琴恵光(佐渡ケ嶽)。10番取って全勝したものの初日まで8日、本場所で当たらない幕内下位と連日稽古では調整は厳しい。横綱の8場所連続休場となれば年6場所制となった1958年以降では貴乃花を超え最長となる。
一門では玉鷲、松鳳山の両小結や前頭上位の琴奨菊、輝が土俵脇に控え、他一門から横綱鶴竜も参加していた。実力者ズラリの中、稀勢の里の指名は自身より約40キロも軽い新入幕の琴恵光。この選択が再起を目指す横綱の現状を物語っていた。
視察した元小結で相撲解説者の舞の海秀平氏は「あれっ、と思った」と拍子抜け。体格差で圧倒し、相手を吹っ飛ばすなど10戦全勝したものの、内容は問題ではない。
「この時期に琴恵光をつかまえて稽古というのは本場所を見送るんじゃないですか。(出るなら)三役クラスとやって圧倒する内容じゃないと。名古屋に出る稽古ではない。次の秋場所のために着々とやっている感じ」。同氏は出場が極めて難しいとの見方を示した。
前日は西前頭15枚目の竜電(高田川)に左差しを封じられ5勝4敗と苦戦。この日の東前頭14枚目琴恵光も本場所で当たる番付ではない。鶴竜が松鳳山、輝と積極的に番数を重ねたのとは対照的だった。
本人は稽古後、「うん、まあ」と取材にはほぼ答えず。午後、熱田神宮で奉納土俵入りを終えた後も報道陣から質問が飛んだが、無言で車に乗り込んだ。
出場なら進退がかかるのは必至。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「とりあえず(名古屋)場所に向けて何とかしていかないと」と出場可否に関して保留。8場所連続休場となれば貴乃花を超え、1928年の3代目西ノ海以来、90年ぶり負の記録に並ぶ。初日まで8日、厳しい判断が迫られる。