羽生結弦に国民栄誉賞授与 「自分らしさ」を込めた袴姿 記念品は辞退
フィギュアスケート男子で66年ぶりの五輪連覇を達成した羽生結弦(23)=ANA=が2日、首相官邸で行われた国民栄誉賞授与式に出席した。23歳での受賞は個人としては史上最年少で、スケート界からは初めて。
凛々しい紋付き袴姿で出席した羽生は、安倍首相から連覇の偉業を「多くの国民に感動と勇気、震災復興への力強いメッセージとなった」と称えられ、笑顔で表彰状と盾を受け取った。首相から「どんな格好しても似合いますね」と袴姿を絶賛されると、「本当はもっと伝統のある所作をしないといけないと思っていたんですけど、やはり自分はスケーターであるので、またここで表彰されるのもやっぱりスケーターの1人として表彰されるというのもあるので、自分らしさもあってもいいかなと思い、ちょっと立ち姿とかそういうものが伝統的なものではないのかもしれないですけど、スケーターとして羽生結弦としてここにいられたらと思いました」と、思いを語った。
今後については「まずは試合にいくつか出て、それまでにしっかり準備を整えて。自分が達成したいこと、達成したい技、それぞれまだ色々ありますので、そちらを優先して自分の身体を磨きつつ、頑張っていけたらと思います」と、述べた。
なお、受賞者に与えられる記念品は、羽生の意向により辞退した。
今年2月の平昌五輪での金メダルは大きな試練を乗り越えての快挙だった。昨年11月、4回転ジャンプの着氷に失敗し、右足首を故障。約2カ月、氷上で練習ができず、一時は出場すら危ぶまれた。しかし約4カ月ぶりの実戦となる夢舞台で劇的な復活を果たし、66年ぶりにフィギュア男子の五輪連覇を達成。苦難を乗り越え日本勢の大会金メダル第1号を手にした姿に、日本中が感銘を受けた。
◆国民栄誉賞 1977年に野球で本塁打の世界記録を打ち立てた王貞治(当時)の功績をたたえるため、政府が創設した。首相が授与式で表彰状や記念品を贈る。当初は広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績を残した個人が対象だったが、2011年にサッカー女子W杯で初優勝した日本代表「なでしこジャパン」に贈る際、団体でも受賞できるように表彰規定を変更した。直近では将棋の羽生善治と囲碁の井山裕太に授与された。