稀勢の里「目が覚めた」 出稽古先で白鵬と10番 あうんの呼吸で“頂上激突”
「大相撲名古屋場所」(8日初日、ドルフィンズアリーナ)
左大胸筋の負傷などで7場所連続休場中の横綱稀勢の里(田子ノ浦)と、横綱白鵬(宮城野)の三番稽古が2日、突然実現した。稀勢の里は真剣勝負で2勝8敗だったが、「目が覚めた気がする」と、不振脱出へ闘志に火が付いた。
ともに名古屋市東区の九重部屋に出稽古し、あうんの呼吸で“頂上激突”が決まった。2人が稽古を行うのは昨年3月の春場所前、白鵬が田子ノ浦部屋へ出稽古して以来、1年4カ月ぶりだ。
宿命のライバルが稀勢の里の勝負魂を呼び起こした。いきなり意地の押し合いで一歩も引かない。最後は組まれて寄り切られ「あー」と悔しがった。
5連敗後、左四つで力強く寄り切る会心の勝利。力を出し尽くした10番となった。ここまで調整不足を露呈し、前日は稽古を休んだ。名古屋場所は休場が濃厚だが、帰り際「(初日まで一週間)しっかりやる」とコメント。31歳最後の日に収穫を得て締めた。
一方の白鵬は、3日に32歳の誕生日を迎える稀勢の里に1日早いプレゼントを贈った。横綱の先輩として再起を願う気持ちは強い。「横綱になった者にしか気持ちは分からない。名古屋場所で横綱12年目となり、横綱のことは誰より知っている。稀勢関は横綱をもっと経験して欲しい。この危機を乗り越えてもらいたい」と男気エールを送った。