錦織初4強ならず 天敵ジョコにまたやられた
「テニス・ウィンブルドン選手権」(11日、ロンドン)
男子シングルス準々決勝で第24シードの錦織圭(28)=日清食品=は第12シードで元世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦し、3-6、6-3、2-6、2-6で敗れた。これでジョコビッチには13連敗で通算2勝14敗。1933年大会4強の佐藤次郎以来85年ぶりの準決勝進出はならなかった。
敗戦が決まった瞬間、錦織は思わず天を仰いだ。股抜きショットで沸かせるなど序盤から好プレーを連発して食い下がったが、またも難敵を打ち破ることはできなかった。
「自分にとって常に大きな壁で挑戦。(過去2勝13敗と)いい対戦成績ではないけど、戦うのは楽しい」
山あり谷ありな錦織のテニス人生を振り返るとき、転換点には不思議とジョコビッチがいた。
2014年の全米オープン。準決勝で当時世界1位のジョコビッチを倒す殊勲の星を挙げ、その輝きは世界に知れ渡った。しかし勝ったのはこれが最後。四大大会に次ぐ格付けのマスターズで初優勝が懸かった決勝や、右手首故障から完全復活を期した大会で因縁を感じさせる対戦が続いて屈してきた。
課題だったサーブの精度が向上し、出場10度目で芝コートでの戦いにも自信を深めていた。初対戦の芝では「新しい試合になる」。だが、抱いた期待は打ち砕かれた。
4回戦で治療を受けた右肘にテープを巻きながら、鋭いリターンや今大会安定しているサーブで渡り合った。第3セット途中で薬を服用。ここからフォアのミスが目立ち始め、劣勢に立たされた。敗れてなお注がれた大歓声。錦織は真っすぐ前を見据えて、テニスの聖地を後にした。