池江璃花子が6冠!日本選手前人未到「やった!」 アジア最強証明で東京五輪へ
「アジア大会・競泳」(24日、ジャカルタ)
競泳女子の池江璃花子(18)=ルネサンス=が50メートル自由形を24秒53の大会新記録で制し、6冠を達成した。50メートルと100メートルの自由形とバタフライ、400メートルリレー、400メートルメドレーリレーも制しており、今大会最後の8種目目で、金メダルの数で競泳女子の西側よしみ(1970、74年)を上回る日本選手の1大会の最多獲得記録を更新。アジア女子としても最多となった。池江は銀メダルも2個を獲得しており、総数を8として82年大会射撃男子のソ・ギルサン(北朝鮮)の1大会最多に並んだ。
両手を強く握りしめ「やった!!」と叫んだ。やっと心からの笑顔が咲いた。そして、スタンドから手を振る家族とコーチの顔を見ると「安心して」涙があふれた。池江が1大会の日本最多、アジア女子としても最多の6冠を達成した。
「素直に本当に、6冠はできると思っていなかったのですごくうれしい」。長かった6日間。総数でも最多タイの8個目のメダルとともに、完全燃焼で締めくくった。
今大会13レース目、「一番緊張した」という決勝は、最後までどちらに転ぶか分からないデッドヒートだった。「絶対負けたくない」。プラン通りに25メートル過ぎから加速すると、タッチの瞬間まで神経を研ぎ澄ませた。「意地」で0秒07差の激戦を制し「自分の力を最後まで出し切れた」と胸をなで下ろした。
8月中旬まで行われたパンパシフィック選手権から数えて計25レース。今大会中は蓄積疲労も重なり「正直、気持ちは折れそうだった」と池江は言う。それでも積み重ねた練習は裏切らない。競技3日目、21日の100メートルバタフライの前には「関東高校でもタイムが出せたんだから」と三木コーチから諭された。追い込み練習の直後の7月末、調整なしで挑んだ関東高校大会でリオデジャネイロ五輪銅メダル相当、当時の日本新記録の56秒86を大きく上回る56秒50をマークしたときのことだ。
であれば今もできるはず-。すぐに笑顔は戻ってきた。「単純なんで」と三木コーチは笑い飛ばすが、それも才能。私はできる。そう思うことができれば、とんでもない強さを発揮する。
「最後までなんとか折れずに踏ん張れた」と池江。「まだアジア。これを来年の世界水泳(7月、韓国・光州)と東京五輪にどうつなげるか」と、感慨に浸るまもなく次を見るのは、女王の宿命なのだろうか。ジャカルタで刻んだこの伝説はきっと、次なる偉業への序章に過ぎない。