「アジア大会・男子マラソン」（２５日、ジャカルタ）

　男子マラソンが行われ、日本歴代４位の２時間６分５４秒の記録を持つ井上大仁（２５）＝ＭＨＰＳ＝が、２時間１８分２２秒で優勝した。日本勢では１９８６年ソウル大会の中山竹通以来、３２年ぶりの金メダル獲得となった。

　２位のエルアバシ（バーレーン）とは同タイムというデッドヒートを繰り広げたが、井上が競り勝った。気温３０度近い暑さの中でレースはスローペース。先頭集団は５人に絞られ、３７キロ過ぎにエルアバシがスパートをかけたが、井上はしっかり付いていった。

　「細かく（先に）行ったり行かれたりを繰り返した。向こうも蛇行して、こっちもダッシュしてを繰り返して…泥仕合でした」

　優勝争いは２人の一騎打ちとなったが、並んだまま４０キロを通過し、勝負はトラックへ。「残り２００メートルの直線で使おうと思っていた力を出すしかなかった。最後はないところから引きずり出すしかなかった」。

　最後の直線で両者猛スパートを仕掛けた。すると、外側を走る井上と内側を走るエルアバシが強く接触した。井上は「勝つことに必死で何が起こったか分からなかった。ぶつかったときは一瞬転ぶんじゃないかと思った」と明かしたが、なんとか持ちこたえて相手を振り切った。

　執念で金メダルを勝ち取った井上は「めっちゃヒヤヒヤしました。怖かったです。かなり強かった」と明かし、「ラストスパート勝負なら勝てると思っていた。接触があってビックリしたが、何とか勝つことができて良かった」と安どした表情を見せた。

　今回出場した２１人中、自己ベストではトップだっただけに、大会前から金メダル獲得を公言してきた。「自分で勝つ勝つ言ってきて、今までチャンスを取りこぼしてきた。今日は何としてでも勝たなきゃいけない。そういうのもあって最後振り絞れた」と胸を張った。