井上大仁 収穫の32年ぶり金 猛暑の“仮想東京五輪”で、アジア屈指のスピードランナー撃破
「アジア大会・男子マラソン」(25日、ジャカルタ)
男子マラソンが行われ、日本歴代4位の2時間6分54秒の記録を持つ井上大仁(25)=MHPS=が、2時間18分22秒で優勝した。日本勢では1986年ソウル大会の中山竹通以来、32年ぶりの金メダル獲得となった。
2年後の東京五輪へ、大きな大きな収穫のある金メダルとなった。今回出場した21人中、自己ベストではトップだっただけに、大会前から金メダル獲得を公言してきた25歳は「自分で勝つ勝つ言ってきて、今までチャンスを取りこぼしてきた。今日は何としてでも勝たなきゃいけない。そういうのもあって最後振り絞れた」と胸を張った。
暑さが考慮され、現地時間朝6時のスタートとなったレース。気温28度で始まり、レース中には7度近く気温が上がった。2年後の東京も朝7時スタートで、35度前後まで上がる酷暑の中でのレースも考えられる。陸連の科学委員会で暑熱対策を請け負っている杉田正明氏は「ジャカルタの気候は、東京とほぼ同じと言っていい」と話していた。“仮想東京五輪”の環境下で、最高の結果を残してみせた。
また、同タイムながら競り勝った相手も、難敵だった。4年前の仁川大会の1万メートル金メダリスト、エルアバシ(バーレーン)。ケニア、エチオピア勢がいないとはいえ、「細かく(先に)行ったり行かれたりを繰り返した。向こうも蛇行して、こっちもダッシュしてを繰り返して…泥仕合でした」と消耗戦に持ち込み、仁川大会では大迫傑(ナイキオレゴンプロジェクト)に勝っているアジア屈指のスピードランナーとのトラック勝負を制したことは十分評価できる。
設楽悠太の日本記録更新、川内優輝のボストンマラソン優勝と上げ潮ムードの日本男子マラソンが、また1つ復活への階段を上った。