マラソン金メダルの裏に“井上セット” 入念暑さ対策…保冷剤、帽子、ユニホーム加工
「アジア大会・男子マラソン」(25日、ジャカルタ)
男子マラソンが行われ、日本歴代4位の2時間6分54秒の記録を持つ井上大仁(25)=MHPS=が、2時間18分22秒で優勝した。日本勢では、1986年ソウル大会の中山竹通以来、32年ぶりの金メダル獲得となった。
真夏に行われる2020年東京五輪を見据えて出場した猛暑でのレースで、井上は入念な暑熱対策を行っていた。ユニホームは、風通しが良くなるように自ら穴を開けて加工した。給水では、水のペットボトルだけでなく、自身が手で持ちやすいと考案した保冷剤とスペシャルドリンクをビニール袋でひとまとめにした“井上セット”を用意した。
序盤、ペットボトルを長い距離持ち続けて走る場面もあった。日本チームが直前までクーラーボックスで冷やしていたもので、「ギリギリまで(体を)冷やすために持っていた。(ペットボトルを)持ったり、かけたり、のんだり、全部使うつもりだった」と狙いを明かした。
また、日差しが強くなることを見越して、30キロ以降では給水セットに帽子が加わった。ただ、帽子は一瞬かぶったものの、「暑いなと思って(途中で)脱ぎました。必要に応じてかぶるが、(今後)帽子はどうするかわからない」と試行錯誤中だという。保冷剤についても「序盤、手のひらを冷やしすぎたのか、ふくらはぎがつりそうになった。その辺も改善の余地がある」と話した。
現地時間午前6時(日本時間午前8時)にスタートし、ジャカルタの気温は約26度。日が昇るにつれて気温が上がる中、序盤からスローペースで推移した。暑さによるダメージについて「思ったよりなかったが、後半は日差しが強くてジワジワ暑くなってきて、体がずっしりきた」と明かした。
2年後の東京五輪や、その選考レースであるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC、19年9月開催予定)に向けても、「準備から何もかも(が収穫)。逆に足りなかったこと探して今後やっていきたい」と大きな手応えを手にした。