小池祐貴、0.002秒差で金! 06年末続以来の快挙!
「アジア大会・陸上」(29日、ジャカルタ)
男子200メートル決勝で小池祐貴(23)=ANA=が20秒23の自己ベストをマークし、日本勢では2006年ドーハ大会の末続慎吾以来となる金メダルを獲得した。柔道初日で男女各2階級が行われ、女子52キロ級の角田夏実(26)=了徳寺学園職=が金メダル第1号。スケートボードのパークで男子の笹岡建介(19)=PROSHOP BELLS=と女子の四十住(よそずみ)さくら(16)=和歌山・伊都中央高、男子ストリートの池慧野巨(けやき、17)=大阪・第一学院高=が優勝。2020年東京五輪の新競技で10代の3人が金メダルを手にした。
祈った。思いっきり胸を突き出し、小池は無我夢中でゴールへ駆け込んだ。待つこと数分。飯塚が「勝ったよ」と言う。電光掲示板の表示はまだない。「本当ですか?」。そう言いつつ、気付けば拳を握っていた。「口に出していた目標だけど、本当にやったんだなって。あ然としてる。『え?現実かな』って。実感が湧かない」。その差は0・002秒。シニアでは初代表となった“伏兵”がアジアの頂点をさらった。
中3までは野球少年。高校生から本格的に陸上を始め、全国屈指の選手に成長したが、タイトルには縁遠かった。同学年には桐生祥秀(日本生命)。その差は大きかった。
進学した慶大では当初、自分で練習を考えさまざまなトレーニングを試した。米国にも行った。しかし「ひとりでやることに限界を感じた」。走り幅跳びで2度五輪を経験した臼井淳一氏に師事。ケガをしない体を作った。
価値観も変わった。フォームにこだわりがちだった小池に臼井氏は「感覚を信じろ」と助言。以降、練習で重視するポイントや追い込み方も変化した。
この日もレース直前、サブトラックでの練習の感覚との誤差を感じた。「たぶん今できる最高は、自分の感覚を信じることだ」。自然と体が動き、気付けばゴール前で競り合う自分がいた。
「僕は僕で200メートルを専門に、しっかり積み重ねて結果を出しているぞって思う」。負け続けた男が見せた意地。まだ慣れない「王者」の称号がまぶしい。