【朝原宣治の目】小池祐貴の勝因は冷静さ 100Mの記録が伸びれば19秒台も

 「アジア大会・陸上」(29日、ジャカルタ)

 陸上男子200メートル決勝で、大会初出場の小池祐貴(ANA)が自己記録を更新する日本歴代7位となる20秒23をマークし、金メダルを獲得した。2位の楊俊瀚(台湾)とは着差ありの同タイムだった。日本勢のこの種目での優勝は3大会ぶり。飯塚翔太(ミズノ)は20秒68で6位だった。

  ◇  ◇

 東京に向けて、非常に楽しみな選手が出てきました。小池選手は、予選を見た時は初めての大きなレースで緊張しているのか調整ミスなのかと思いましたが、準決勝で自己ベストに近いぐらいの体調であることがわかりました。

 決勝は隣の楊選手が準決勝からさらに調子を上げてきましたが、あの展開でよく勝ちきりました。カーブでああいう風に出られると力んで直線に影響してしまいます。よく失敗するのはカーブで力を使いすぎて後半バテたり、逆にカーブで進まないと直線の伸びにつながらないものですが、小池選手は惑わされず、冷静にうまく走りました。

 僕みたいなスプリンターはキレを上げていって200メートルも出ていましたが、小池選手は普段から(疲労で)乳酸の出る長い距離を走っていて100メートルの後半までしっかりい走れます。400メートルも走れるでしょうし、200メートルが向いていると思います。カーブで追い風を受ける条件ならもっとタイムは出るでしょうし、100メートルの記録が伸びれば19秒台も見えてきます。

 7月にヨーロッパ遠征で20秒29を出し、今日はさらに更新。決勝で自己ベストを出せるのは素晴らしいことです。力があることは証明されました。課題があるとすれば、ラウンドを踏んでいくプランでしょうか。今回はアジア大会だったため予選を通過できましたが、五輪や世界選手権ではそうはいきません。予選から決勝までどう走るか。それも経験です。研究熱心な選手ですし、まだまだ成長が楽しみです。(08年北京五輪男子400メートルリレー銅メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰)

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