大野将平、11分の死闘制し金メダル「10分、20分でも戦ってやると」
「アジア大会・柔道」(30日、ジャカルタ)
男子73キロ級決勝で、リオデジャネイロ五輪金メダリストの大野将平(26)=旭化成=が、世界選手権銅メダルの安昌林(韓国)との11分9秒の死闘の末、内股による技ありで勝利し、金メダルを獲得した。
五輪チャンピオンが執念を見せた。両者、技のポイントが入らないまま、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入。大野が内股、安が担ぎ技を狙い続ける根性勝負に発展し、試合時間は11分を超えた。
けんか四つでなかなか引き手を持てない大野だったが、愚直に得意技を狙い続けた。「腕がぱんぱんになりながらも釣り手は離さないぞと。自分の内股を信じて、思いっきり相手をビビらせるくらい跳ねてやろうと思った」。10分50秒を過ぎたところで大外刈りで崩してから内股に入り、相手の体の側面を一瞬畳につけた。その時点ではポイントが入らなかったが、ジュリーが「技あり」を認めて、ようやく決着がついた。
激闘を制した大野は「(あと)10分、20分でも戦ってやろうと思ってました」とアドレナリン全開。「稽古の質と量、根性では絶対負けないと思ってたし、ここで引いてしまったら自分の東京五輪への道はなくなると思って、強い気持ちで臨んでいました」と、プライドを爆発させた。
リオ五輪後は修士論文の執筆などで休養していた。本格復帰は今年2月からだったが、五輪王者の風格が着実に戻りつつある。「皆さんからしたら(五輪王者が)アジア王者になって当たり前だと思う。でも、ありがたいほどのプレッシャーをかけていただいた中で勝てたのは、試合の内容は置いておいて、人間として習熟していけたのかなとは感じる」。まだ100%ではないものの、連覇に強い意欲を燃やしている東京五輪に向けて変わらぬ存在感を誇示した。