体操女子パワハラ MeToo予兆? OG、現役選手が続々と宮川に協力&応援表明
体操女子リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江(18)が29日に指導中の暴力で資格停止処分となった速見佑斗元コーチの処分撤回を訴えるとともに、日本体操協会の塚原千恵子女子強化部長(71)と、夫の塚原光男副会長(70)から「五輪に出られなくなるわよ」と圧力とも受け取れるパワーハラスメントを受けたと告発した問題で、30日、OG選手、現役選手の中でも“意思表明”の動きが出てきた。
現役中に塚原夫妻が運営する朝日生命体操クラブに所属し、退団。その後、日体大へ入学し、現役を続けた経験を持つ世界選手権メダリストの鶴見虹子さん(25)は、自身のツイッターで「元朝日生命で元日本代表として、全力で宮川さえちゃんを応援したいです。皆さんも応援してあげて下さい」と、つぶやいた。
12年ロンドン五輪で女子代表の主将を務めた田中理恵さんは30日、自身のツイッターを更新。「色んな形での助け方があります。私もさえのためにも、選手たちのためにも、協力します。心配で仕方がない」とつぶやき、なんらかの形で宮川に協力する意志を表明した。
また、現役でも2大会連続五輪出場中で、現在も宮川と同じく世界選手権代表候補の寺本明日香(22)=ミキハウス=は自らはつぶやいていないが、北村晴男弁護士の「3キロの速度超過も200キロの速度超過も同じ速度違反だから、何れも免許取り消しの上、懲役6カ月の実刑を科すとすれば、それはバランスを欠いた不健全な社会」、「宮川選手は選手生命を賭けて訴えている。これについて徹底的に事実調査をし、協会幹部がえげつないパワハラをしていたのかどうかを解明するのが社会の責任だ」という日本協会の姿勢を断ずるツイートに、“いいね”を押し、宮川に同調した。
宮川は「今までずっとこういうことをされてきた選手もたくさんいるので、そういう人たちの声を代表して言っている」と話しており、今後も“Me Too”のような動きが広がる可能性もある。
宮川は速見元コーチが処分を受けてから、練習に集中できない日々が続いており、現在の世界選手権代表候補を辞退し、今季の試合出場を見合わせる意向を示している。
宮川側が主張する経過は次の通り。
【7月15日】女子代表合宿中に、宮川が塚原千恵子・女子強化本部長と、塚原光男協会副会長から聴き取りを受ける。その内容について宮川側は強い疑問を投げかけている。
【7月19日】宮川の担当弁護士に、速見コーチから、協会がパワハラについて調査を始めているようだとの連絡が入る。
【7月20日】塚原千恵子・女子強化本部長付のスタッフから、速見コーチと練習できなくなることを理由に、塚原本部長が女子チームの監督を務める朝日生命体操クラブへの加入を勧められたと明かした。21日にも勧められたという。
【7月23日】協会から速見コーチに7月30日に事情聴取を行うと連絡が入る。なお、弁護士の同席は協会側が拒否したという。
【7月30日】協会側による速見コーチへの事情聴取が行われる。
【8月6日】宮川の父親が、保護者の立場から面談を体操協会にメールで申し入れる。宮川によると、その後、協会から連絡はなかったという。
【8月14日】速見コーチへの無期限の登録抹消と、ナショナルトレーニングセンターでの活動禁止処分が届く。
【8月20日】処分を不服として、東京地裁に仮処分の申立を行う。
【8月29日】午後4時から宮川が会見。同日夜に体操協会が速見コーチへの処分について会見。処分はパワハラ行為にではなく、暴力行為に対して科したと表明した。
【8月31日】仮処分申請について、速見コーチ側と、体操協会側を含めた双方の言い分を聞くための審尋が行われる予定。