羽生結弦、今季テーマは「起源」 フリーはプルシェンコの伝説曲入りのオリジナル曲
今年2月の平昌五輪でフィギュアスケート男子66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦(23)=ANA=が30日(日本時間31日)、練習拠点のカナダ、トロントで練習を公開し、今季の新プログラムを発表した。フリーはオリジナルのアレンジ曲「ORIGIN」。憧れの“皇帝”プルシェンコがかつての採点方法で芸術点でオール6・0(満点)を記録した伝説のプログラム「ニジンスキーに捧ぐ」も入っており「自分の起源、始まりの意味を持たせた」。プルシェンコ氏には4月のアイスショーで使用の許可をもらい「ぜひ、頑張って」とエールを送られたという。
SPはかつてジョニー・ウィアーが使った「オトナル」。
ともに自身の“原点”をテーマにした。「(五輪連覇で)結果としては満足していて、結果を残さなきゃいけないという重圧からは解放されている。これからは自分のために滑ってもいいのかなと。大変な道のりを思い返しながら、自分への恩返しのつもりで滑りたい」。今季初戦はオータムクラシック(9月21日開幕・カナダ、オークビル)を予定している。
近年の羽生のプログラムの変遷は次の通り。
◆2014-15シーズン
SP「バラード第1番」 フリー「オペラ座の怪人」
ソチ五輪後の新シーズン。SPに選んだのは、シニア転向後では初のピアノ曲となったショパン作曲の「バラード第1番ト短調」。また、このシーズンからボーカル入りの曲が解禁となり、フリーには映画「オペラ座の怪人」を選んだ。羽生曰く「中学生の時から好きな曲で思い入れが強い」。GP中国杯で6分間練習中に他の選手と激突し、大けがを負うアクシデントがあったが、驚異的な精神力でGPファイナル2連覇を達成した。
◆2015-16シーズン
SP「バラード第1番」 フリー「SEIMEI」
SPは前シーズンに続いてショパンの「バラード第1番」。フリーには、初めての和の曲となる映画「陰陽師」より「SEIMEI」を選んだ。和笛や太鼓の音に合わせて、伝説の陰陽師・安倍晴明を演じ、GPシリーズNHK杯でSP、フリーとも世界最高得点を更新し、322・40点を記録。さらに2週間後のGPファイナルでは、再びSP、フリーとも世界最高得点を更新し、総得点を330・43点まで伸ばし、3連覇を達成した。
◆2016-17シーズン
SP「レッツ・ゴー・クレイジー」 フリー「Hope&Legacy」
SPは伝説のシンガー・プリンスのロックナンバー「レッツ・ゴー・クレイジー」に挑戦。プリンスのテーマカラーであるパープルの衣装を身にまとい、ノリノリで観客を煽るなど観客との一体感も感じられるプログラムになった。フリーは久石譲が98年の長野パラリンピックのために作った「Hope& Legacy」。羽生は長野五輪やパラリンピックを見た母が姉をスケートに連れていったことをきっかけに自身も競技を始めたという。「スケート人生の原点」という荘厳な曲を、滑りで体現し、3月の世界選手権ではフリーで自身の世界最高得点を更新する223・20点をマークした。
◆2017-18シーズン
SP「バラード第1番」 フリー「SEIMEI」
連覇の懸かる平昌五輪シーズンは、15年-16シーズンのGPファイナルで総得点世界最高をマークした“最強勝負曲セット”で選んだ。11月のNHK杯で右足首じん帯の損傷という逆境が立ちはだかったが、そこからぶっつけ本番で臨んだ平昌五輪本番では魂の演技を披露。66年ぶり連覇の偉業を達成し、フィギュアスケート界に新たな歴史を刻んだ。6月には冬季競技選手としては史上初めて国民栄誉賞を受賞した。