稀勢の里、稽古総見で鬼の形相で「オラ-!」 横審委員長も期待「あとは勝負勘」
「大相撲秋場所」(9月9日初日、両国国技館)
東京開催場所前恒例の横綱審議委員会(横審)による稽古総見が31日、東京・両国国技館で行われ、左大胸筋の負傷などで8場所連続休場中の横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が横綱鶴竜(井筒)、大関豪栄道(境川)、栃ノ心(春日野)と相撲を取り4勝4敗と五分で終えた。
不安の連敗スタートから何とか持ち直した。いきなり豪栄道の低い立ち合いになすすべなく後退し寄り切られて完敗。続く鶴竜には動きが止まった瞬間、裾払いをかけられ、バッタリ横転した。
3番目、鶴竜をがっぷり組み寄り切ると自信も回復。続く豪栄道とは激しい突き合い。右頬を張られて闘志の火が付いた。鬼の形相で押し出すと「オラー!」と怒ったかのようにほえた。その後も、気迫前面の相撲で土俵で暴れた。
「久々にああいう相撲が取れて気持ち良かった。(手応えは)いいんじゃないかと。(闘志は)あまりいいことじゃないけど顔を張られたし」と勝負魂はよみがえった。
進退をかける秋場所初日に照準。「もう少し加わればもっと良くなっていく。楽しみ。またこれからしっかりやる」と力を込めた。
夏場所前の稽古総見は当時関脇だった栃ノ心に完敗し、横審委員らから酷評された。そこから調子を落とし休場に追い込まれた。4カ月前と比べれば、周囲の評価も高い。
見守った横審の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「体は戻ってきたように見えた。あとは勝負勘」と期待。進退に関しては「本人がいろいろ考えて判断しないといけないこと」と、改めて本人に一任する考えを強調した。
八角理事長(元横綱北勝海)は「何番かやって汗をかいて良くなっている。今の精いっぱいをやっている」と、話した。