大坂、日本女子初の四大大会決勝進出 前人未到の日本勢初Vを飾るのは“なおみよ”
「テニス・全米オープン」(6日、ニューヨーク)
日本女子のエース、第20シードの大坂なおみ(20)=日清食品=が、昨年準優勝で第14シードのマディソン・キーズ(米国)を6-2、6-4で破り、四大大会で日本女子初の決勝進出を果たした。8日午後4時(日本時間9日午前5時)に始まる決勝では、シングルスで男女を通じて日本勢初の四大大会制覇を懸け、四大大会歴代最多に並ぶ通算24勝目を目指す第17シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)に挑む。
最後は代名詞である強烈なサーブでねじ伏せた。キーズのリターンが外れると、大きく両手を挙げて、歓喜に浸った。四大大会で日本女子初の決勝進出。「疲れた。何かたくさん走った。でも、すごくうれしい。現実じゃないみたい」。センターコートの観衆から沸き上がった温かな拍手に包まれて、大坂は満面の笑みを浮かべた。
力任せで戦った以前の姿はない。ストロークもフットワークも安定し、ラリー戦で過去3戦全敗の難敵キーズからミスを引き出した。
第2セットの第2ゲームではキーズに6度もアドバンテージがあった白熱した攻防で「ボールをつなぎ、嵐を乗り切ることだけを考えていた」と我慢強く耐えた。相手の得意なフォアの逆クロスをしのぎ、サービスゲームを守ると力強い「カモン」の声が響き、相手を気落ちさせた。
2年前の悔し涙も糧にした。キーズと初対戦だった16年の全米3回戦。最終セットの5-1から大逆転負けを喫し、人目をはばからず泣いた。「あの試合から多くのことを学んだ。あの経験には感謝している」。13度もあったブレークポイントのピンチを耐え続け、一回りも二回りも成長した姿を示した。
ハイチ出身の父と北海道出身の母を持ち、大阪で生まれると、3歳でニューヨークに移り住んだ。大会の会場近くで育ち、「テレビで最初に見たのが全米オープン。この会場に来ると子どもの頃を思い出す」。思い入れの強い舞台。夢見てきた決勝のコートで憧れの人と相まみえるのもまた、合縁奇縁だろう。
「四大大会決勝でセリーナと戦うのが夢だったから」
16歳も年が離れた子どもの頃からのアイドルに挑む。自信を聞かれた大坂は「ない」と即答して笑った後で、「自信を持って戦うことが大事」と加えた。S・ウィリアムズとは今年3月のマイアミ・オープンで初対戦し、2-0で勝利を収めている。負けるつもりはない。絶対王者を打ち砕き、「大坂時代」の幕を開ける。