塚原夫妻反論「権力闘争までいっている」パワハラ&引き抜き否定 政治的な動き示唆
体操女子リオデジャネイロ五輪代表、宮川紗江(19)を巡る問題で、渦中にある塚原光男副会長(70)、塚原千恵子女子強化本部長(71)夫妻が10日までに都内で取材に応じ、宮川側が主張しているパワハラと引き抜き疑惑を否定した。そして、騒動の裏には、来年の日本体操協会の役員改選を巡る権力闘争があることを示唆した。
栄華を極めた体操ニッポンで勃発した泥沼のゴタゴタは、一向に収束の気配が見えない。無期限の登録抹消処分を受けた速見元コーチから暴力を受けた宮川がコーチの暴力を許容した一方で、塚原夫妻からのパワハラを告発したことで、事態は一気に混とんとなった。バッシングを受けて、一時は沈黙してきた千恵子氏も、事態の収拾に向け動き始めた。
「暴力からパワハラ、引き抜きにいって、もう権力闘争までいっている現状。自分たちで解決しなきゃいけない」と、取材に応じ始めた理由を説明した。
宮川側は、速見元コーチの処分の裏には、自身を塚原夫妻が運営する朝日生命に引き抜きたい思惑があったと主張しているが、夫妻は否定。速見元コーチは、過去3度の引き抜きがあったとしているが、1度目の宮川が中学3年生の時について、光男氏は「当時うちの男子のヘッドコーチと速見コーチが懇意にしていた。その中で『練習環境がよくない』と、相談していたそうです。それならうちが一回話きこうかと言った」と説明。「それを勧誘と言っている。僕は手を差し伸べたつもりなんだけど」と、困惑した表情で話した。
2、3回目とされる昨年の世界選手権、そして今年7月の合宿については朝日生命ではなく、2020東京五輪特別強化選手への誘いだったとした。宮川は「『朝日生命の寮が空いてる』と言われた」と話しているが、光男氏は「うちはナショナルトレーニングセンター(NTC)の指定を受けている。寮も体操協会が借りているもの」と説明。16年12月に千恵子氏が宮川に電話で「五輪に出られなくなる」と話した点についても、「宮川さんは振り付けに問題があった。2020に入れば、海外の振り付け師から学べるし、東京五輪の枠は(これまでの5から)4になるので」と千恵子氏。2年間海外派遣がなかったことについても、「若手を優先的に派遣した。同学年のうちの杉原(愛子)も派遣していない」。NTCの利用制限についても「2020と、従来のナショナル選手で時間を分けている」と説明した。
夫妻は騒動の裏に、体操界の権力闘争があると見ている。池谷幸雄氏、森末慎二氏らが“塚原批判”の急先鋒にたっているが千恵子氏は「彼らだけではできない。来年は役員改選ですから。色々なことがある」と、“政治的な”動きがあることあることを示唆。宮川の急変ぶりにも疑問を投げかけた。宮川はパワハラがあったとされる7月15、16日の後、20日に撮影されたテレビ局の取材で、世界選手権への意欲や塚原強化本部長への感謝を語っており、光男氏は「(告発の)雰囲気はなかった。どなたかがお考えになったんじゃないかという気がしちゃうんですよね」と、いぶかしがった。