「大相撲秋場所・５日目」（１３日、両国国技館）

　秋場所後に日本相撲協会を６５歳で定年退職する山科親方（元小結大錦）＝本名・尾堀盛夫＝が１３日、東京・両国国技館内で記者会見した。７０歳まで協会に残ることができる再雇用は申請しない。

　新潟県佐渡市出身、出羽海部屋に入門。１９６８年夏場所で初土俵を踏んだ。７３年秋場所の新入幕で横綱琴桜、大関貴ノ花を倒して１１勝４敗。三賞を独占した。

　故北の湖理事長（元横綱）と同じ昭和２８年生まれで“花のニッパチ”と呼ばれた。糖尿病もあり一時は幕下まで落ちながら、８１年春場所で７度目の入幕を果たした苦労人。

　８８年初場所限りで引退し、年寄山科を襲名。出羽海部屋付きの親方として後進の指導に当たった。昨年初場所以降、審判部副部長を務めた。最高位が小結で審判長となるのは初めてだった。

　「さっぱりしています。自分なりには満足」と丸５０年に及んだ相撲人生に晴れやか。「病気、ケガにもなったけど今思えば自分の勉強になっている」と糖尿病に苦しんだ現役時代を振り返った。

　０３年より協会在勤委員として北の湖理事長を支えた。不祥事も相次ぎ「（理事長に）恥をかかさないように」と全力で取り組んだ。「酒がなかったらつぶれていた。カーッと飲んで寝るのが一番。ネクタイしてると肩が凝るし。早く元気なうちに協会を離れたかった」と、ストレス続きの親方人生だった。今後の協会には「不祥事みたいのがなく淡々とやってくれれば。あれが一番きついです」との言葉を残した。

　定年後は好きな酒、ゴルフ、苦労をかけた夫人との旅行などを描く。「猫が一匹いるのでどうするか、連れていくわけにもいかない」と、笑った。

　出羽海部屋では先場所、御嶽海が初優勝を果たした。「いい餞別（せんべつ）をもらいました」と話していた。大関とりに挑む今場所の弟子に「まだまだ分からん。先場所より内容が悪い」と、冷静に話していた。