桃田賢斗、戴冠…日本男子初! 「世界選手権より勝ちたかった」
「バドミントン・ジャパン・オープン」(16日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)
各種目の決勝が行われ、男子シングルスは世界選手権金メダルの桃田賢斗(24)=NTT東日本=が世界ランク26位コシット・フェトラダブ(タイ)を2-0で下し、日本男子で初優勝を果たした。女子ダブルスは世界ランク1位の福島由紀、広田彩花組(岐阜トリッキーパンダース)が、同2位の中国ペアに勝って初制覇。今大会で日本勢が複数種目を制したのは初めて。女子シングルスで前年世界女王の奥原希望(日本ユニシス)はリオ五輪金のカロリナ・マリン(スペイン)に敗れ、3年ぶりの優勝を逃した。
小学生時代から憧れた舞台で、桃田がついに頂点に立った。疲労がピークに達した終盤は「あと何点」とカウントダウン。サーブ時は緊張で手が震える。「日本での大会は特別。正直、世界選手権よりも勝ちたかった」。最後の1点をライン際へのスマッシュで決めると、歓喜と開放感でひざまずいた。
違法賭博による処分で15年を最後に出場が遠のき、昨年は観客席で観戦した。世界王者としてカムバックした今大会で必死にシャトルを追ったのは、6200人の観衆に心身の成長を証明するためだ。「この舞台に立つことすらできないと思っていたが、周りに支えられてまた試合ができた。皆さんの前で成長した姿を見せられた」。若きエースをたたえる拍手が会場を包んだ。
競技を続けさせてくれたチームへの恩は世界王者になっても忘れない。世界選手権から大舞台の連戦が続いた8月は珍しく「疲れた」と弱音も漏らしていたが、アジア大会帰国翌日には所属の練習にちゃんと顔を出し、「何試合でも(練習相手を)やりますよ」と志願。3時間半のメニューをフルでこなし、周囲を驚かせた。
五輪会場での優勝に「自信になったし、すごく相性のいい体育館だと思った」と適性も証明。コート内外での充実ぶりが目立つエースに、2020年の金メダルがいよいよ現実味を帯びてきた。