「サーフィン・ＷＧ・第４日」（１９日、大石海岸）

　２０２０年東京五輪で追加種目になったサーフィンの世界選手権に相当する大会で、男子の五十嵐カノア（２０）は決勝で２０点満点の１３・６７点で２位だった。開始直後から豪快な技を繰り出して首位に立ったが、終盤はプロとアマの採点の違いに判断を誤り、逆転を許した。優勝はならなかったが、男女を通じて日本人初のメダルを獲得した。サンティアゴ・ムニス（アルゼンチン）が１４・６３点で優勝。村上舜（２１）は９・９６点で４位だった。

　優勝者をたたえる表彰式で流れたのは君が代ではなく、アルゼンチン国歌だった。五十嵐はプロ世界最高峰ＣＴ（チャンピオンシップツアー）ランキング９位で決勝を戦う４人のうち最上位だったが、０・９６点差の２位。「日の丸のために金メダルを取りたかったので『ちくしょー』という思いがある」と悔しさをあらわにした。

　両親がプロサーファーを目指して移住した米カリフォルニア州で生まれ、日米両方の国籍を持つ。だが「小さい時から、いつか日本の旗の下でやりたいと思っていた」。２年前に東京五輪でのサーフィン実施が決まると、日本への国籍登録変更を決断。この４月にアマチュア統括団体の国際サーフィン連盟（ＩＳＡ）から登録変更を承認され、初めて日本代表として臨んだのが今大会だった。

　プロが主戦場の五十嵐は、アマとの採点の違いに苦しんだ。「プロで評価される細かく、難しい技術をＩＳＡでは取ってくれない。もっとシンプルでベーシックなサーフィンをするべきだった」

　負けたとはいえ、銀メダルは日本勢史上初の快挙。「いっぱい勉強になった。ＩＳＡのジャッジにもこれから対応していく。金メダルは五輪まで取っておきましょう」。敗戦は決して無駄にはならない。味わった悔しさは２年後の東京五輪でぶつける。