稀勢の里“因縁の相手”白鵬止めて2桁星だ 横綱昇進後初激突!決戦へ気力充実

 「大相撲秋場所・12日目」(20日、両国国技館)

 左大胸筋負傷などで8場所連続休場から進退を懸ける横綱稀勢の里が関脇御嶽海を寄り切って9勝目(3敗)を挙げた。先場所優勝した若武者の攻めを受け切り、盤石の左四つで貫禄相撲。13日目は横綱昇進後初めて横綱白鵬と激突し、引退危機脱出へ安全圏となる2桁勝利を狙う。白鵬は栃ノ心をすくい投げで退け、初日から12連勝で単独トップ死守。横綱鶴竜は大関高安に屈し2敗に後退。1敗が消え、2敗で鶴竜、高安、大関豪栄道が追う。

 すれ違い続けた“因縁の相手”と稀勢の里がついに相まみえる。13日目、横綱として初めての白鵬戦。両者もファンも待ち望んだ一戦を前に27秒3の貫禄相撲で弾みを付けた。

 先場所初優勝し、成長一途の御嶽海をねじ伏せた。立ち合い右で張って左差し。上手を許し、素早い動きで体勢を崩そうとする相手にも慌てなかった。攻めを受け切ってじっくり圧力をかける。組み止めて最後は右上手。観念し相手は土俵を割った。

 前日、逸ノ城に力なく押し出された3敗目からきっちり立て直して9勝目。支度部屋では上手を取られても落ち着いていたかと問われ「そうですね」とポツリ。終盤の疲労には「まあしっかり」と、つぶやくのみだった。

 勝利にもいつも以上に少ない言葉数は決戦へ向け、気力充実と見る。対戦成績は幕内通算16勝43敗。白鵬は大関時代、勝負どころで何度も優勝を阻止され続けた天敵だった。

 8場所連続休場を決めた名古屋場所前、出稽古先で白鵬と三番稽古した。2勝8敗だったが「目覚めた」と眠っていた勝負魂がよみがえった。「稀勢関は横綱をもっと経験して欲しい。この危機を乗り越えて」とエールも送られた。「感覚的には名古屋でつかんだ」とこれが今場所の復調の転機となった。

 初優勝した昨年初場所、千秋楽で突き落として下したのが最後の対戦。10場所ぶり60度目の激突でトップを走る宿敵を止め、2桁星をもぎ取れば、進退問題脱出へ当確がともる。

 7場所連続全休明けで12勝を挙げ、優勝争いした“平成の大横綱”貴乃花親方も大一番に期待を寄せる。「(稀勢の里は)はたかれても変わられても張られても横綱を捨ててやったら面白い。左のおっつけで相手の腰を浮かせたら勝機はたくさんある」と捨て身での戦いを求めた。

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