山県10秒01で3連覇 「悔しい」悲願の9秒台あと一歩届かず
「陸上・全日本実業団選手権」(23日、ヤンマースタジアム長居)
男子100メートル決勝が行われ、アジア大会銅メダリストの山県亮太(26)=セイコー=が、無風条件で10秒01をマークし、大会3連覇を飾った。8月のアジア大会で自身2度目の10秒00をマークし、9秒台突入、日本記録(9秒98)の更新に期待が懸かっていたが、惜しくも届かず。今季最終戦となる福井国体(10月6日)に持ち越しとなった。日本記録保持者の桐生祥秀(22)=日本生命=は10秒22で2位に終わった。
今、日本で誰よりも速く、誰よりも強いことは間違いない。ただ、10秒と9秒を分かつ時間の神様だけが、振り向いてくれない。ゴールの瞬間、珍しく必死に胸を突き出しフィニッシュの体勢を取った山県は、タイム表示を見て、悔しそうに表情をゆがめた。「10・01」。7センチ差で逃した8月のアジア大会に続いて、また悲願の数字に届かなかった。
「9秒台というか、(日本記録の)9秒98を超えたい気持ちが強かった。悔しい」
ほぼ完璧なレースだった。1回目でフライングがあり、仕切り直しとなった2回目のスタートだったが、0秒116という抜群の反応タイムで飛び出すと、日本記録保持者の桐生以下を突き放す一方だった。ただ、風は無風。「風は期待はしてなかった。自分の力が一番分かる条件。地力がついてきた実感はある」と受け止め、「もどかしさは正直ある。記録ばっかりは、神様が『出していいよ』と言うまでは出ないんだなと思って、次に向かうしかないですね」と前を向いた。
今季最終戦は、10月の福井国体。会場は桐生が昨年、日本人初の9秒台を出し命名された『9・98スタジアム』だ。「(記録を)出しづらいな」と苦笑いしつつ、「桐生くんのお墨付きがある。名前は変えられないでしょうけど、9秒97を出したい」-。今度こそ、神を振り向かせる。