稀勢の里、来場所復活V宣言 9場所ぶり完走10勝5敗!親方衆も合格点

 「大相撲秋場所・千秋楽」(23日、両国国技館)

 左大胸筋の負傷などで8場所連続休場から進退を懸けた横綱稀勢の里が千秋楽、大関豪栄道に突き落としで完敗し、10勝5敗で終えた。白星締めはならなかったが、9場所ぶりに15日間出場して2桁勝利の結果に八角理事長(元横綱北勝海)らは及第点を与えた。引退危機は脱し、来場所は優勝争いが求められる。14日目に41度目優勝を決めた白鵬は鶴竜との横綱戦を制し、自らの最多記録を更新する14度目の全勝優勝で花を添えた。三賞は初めて該当者がいなかった。

 稀勢の里は豪栄道にド派手に転がされ完敗した。有終ならず、支度部屋で無言。その後、都内で行われた部屋の千秋楽祝賀会で壇上のあいさつに立ち、進退を懸けた15日を戦い抜いた心境を語った。

 「今場所はけがなく千秋楽を迎えることができました。これも大声援を送ってくれたファン、後援会の皆さまのおかげだと思います。優勝争いに絡めなかったですが、まだまだもっと強くなり優勝争いに絡み、来場所いい報告ができるように頑張ります」。進退危機を乗り越え、力強く現役続行を宣言。次こそは優勝争いを誓った。

 積み上げた10個の星で生き残った。序盤は連日、逆転の稀勢の里劇場で薄氷の勝利を拾った。6日目に初黒星を喫したが中盤以降、本来の左四つに組み止めるなど、自身の形を取り戻していった。9日目に大関栃ノ心、12日目に関脇御嶽海を突破。13日目は鶴竜を撃破し、横綱相手の初勝利で2桁星に乗せた。

 気迫、執念そして結果。見守った親方衆も引退危機脱出へ合格点を与える。八角理事長(元横綱北勝海)は「普通の場所より疲れているよ。精神的に。逆に乗り切れたから自信になる」と評価した。

 一方で白鵬、豪栄道と後手に回ればもろさも露呈。理事長は「圧力を戻したい。稽古しないと戻らない」とさらなる奮起を求めた。自身も長期休場明けを経験しており「次の場所きちっと勝つんだって俺の場合は考えた」と九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)で真価が問われるとの考えだ。

 現役時代の兄弟子で再起を支援し続けた西岩親方(元関脇若の里)は「横綱として優勝した時が本当の復活。精進すればそういう日は来る」と優勝争いを期待した。

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