【一問一答】貴乃花親方、引退表明 弟子の未来を見据え断腸の思い
大相撲の貴乃花親方(46)=元横綱=が25日、日本相撲協会に引退届を提出した。同日、都内で会見し、約1時間半にわたって引退理由、無念の思いを語った。また貴乃花部屋所属の弟子らの千賀ノ浦部屋への変更願いを提出したことも明かした。
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-横綱を引退する時は『すがすがしい、悔いはない』と言っていた。今の率直な思いは。
「苦渋の決断ではあるが、なにより弟子たちの将来を見据えて、断腸の思いです」
-弟子たちと別れる気持ちは。
「無念というか、悲しいけど、弟子たちが土俵で活躍することが何よりも最優先されるべき。(弟子たちと)今朝、全員で話をした。涙する子たちがほとんどでしたが、側面から見守っていくと伝えた。師匠ではなくなるが、お父さんという気持ちで触れていきたい」
-今後の相撲との関わりは。
「土俵に育てられた私なので、土俵には携わっていきたい。入門を希望するような少年たちに携わって、相撲を少しでも教えられたらいいと思う」
-協会に残る考えはないのか。
「ございません」
-協会とは完全に縁を切るのか。
「引退届を提出したので。そういうことになる」
-「退職届」ではなく「引退届」の理由は。
「規約に明記されているのは、引退ということで、退職というのが書かれていないので、引退という言葉を使わせてもらった」
-7月の理事会で全親方は一門に入らなければいけないという取り決めがされた。
「秋場所後半に直接役員の方から聞いたのが初めて。一門に属さなければ親方ができないという、周りから聞かされるような状態で(役員から言われた)。そこに(一門に入る条件として)告発が事実無根であることを認定すること、というのが後にくっついて出てきた」
-どこかの一門から誘いの声はなかったか。
「いただいていた。ただ、それは理事会で正式に決まったことなのか、確認ができていない状態だった。単に一門に所属するだけならできたかもしれないが、告発状について事実無根と認めるよう言われたので、どの一門にも入ることはできないなと考えていた」
-八角理事長と話し合ったりはしなかったのか。
「はい。(一門のことについて)正式な通達を理事長からいただければ、そういうこともかなったかもしれませんが。現在まで、直接に通達をされたことはありませんので」
-一門所属のルールについて。
「長く続いているものですので、単に否定はできないかと思う。以上は控えさせていただく」
-相撲界を変えたくて告発状を出した。志半ばで辞めなければいけない。
「そうですね。うちの弟子たちがこれから活躍してくれることを願って、それを正面から見て、喜びを感じていきたいという気持ちがある」
-協会を変えようと戦ってきた。引退という決断は敗れたことにならないか。
「たくさんの見方、見解があると思う。敗北であっても生きていける、土俵に携わって生きていけることを念頭におきたい」
-これからも相撲協会を変えていきたいという気持ちはあるか。
「もう引退を届け出ているので、それはかなわぬものであると思う」
-最後は1人で去って行く印象だ。
「入門した時も自分の意思で決めたので、今回も自分の意思で自分の在り方を行動に移さなければという思いだけ」
-弁護士事務所での会見だが、今後アクションを起こす予定は。
「とくに現在はございません」
-告発状の内容、事実を改めて立証することは考えてないのか。
「とくにございません」
-協会に対して思うことは。
「若い力士が、力ある力士が、成長していく姿をつくっていただきたい。たくさんつくっていただきたいと、そう願っている」
-残される弟子たちに伝えたいことは。
「常々指導の中で、もし師匠の私が今日明日、例えば命を絶ったり、亡くなったりした時でも、教えられた意思は今度は弟子たちが、そのまた弟子たちにつなげていく、これが部屋の伝統であると(伝えている)。それが、私が亡くなった初代貴乃花の師匠から教えられたことでもある」
-ファンに向けて。
「私がいまあるのは大相撲ファンのみなさまに支えられたおかげ。この思いは生涯胸に秘めていきたい。感謝の気持ちで一杯」